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学外サイエンス学習 京都大学桂キャンパス 工学研究科

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 3学期の学外サイエンス学習がはじまりました。1月27日(月)高校1年の選択生徒21名で,京都大学桂キャンパスの工学研究科にお伺いしました。講師の先生は本校の卒業生でもある後藤忠徳先生です。先生は地中レーダーなどを利用した地下探査がご専門で,地盤の構造解析,地下水や地下資源の探査,防災の観点からの活断層探査など,多角的に探査技術の研究・開発を行っておられます。

 まずはじめに,工学部地球工学科についてご説明いただきました。桂キャンパスは,大学院生が研究に専念するための環境が整えられており,学部生も卒業研究を始める4回生からはこちらのキャンパスで生活するとのことでした。学生は1学年あたり200名あまりと学部規模の在籍数ですが,その指導にあたるスタッフもほぼ同数おられるとのことで,きめ細かい指導がなされているようすでした。また,卒業後の進路についてもご説明いただきました。9割以上の学生が大学院に進学するとのことで,企業就職した後も大学と連携した研究の道が拓けていることがわかりました。生徒にとっては,進路選択の具体例を垣間見ることができたようです。

 後藤先生のお話の後,館内施設を見学させていただきました。まず,お邪魔したのは,水理乱流力学がご専門の岡本隆明先生の研究室です。この時期,学部生は卒論,院生は企業説明会などで忙しいとのことで,岡本先生直々にご説明いただきました。研究室内には大きな実験用の水路が設置され,流速の三次元解析や河床保護の研究をされているとのことでした。水害の被害予想や対策,防災といった環境保護の視点に立った研究が求められているというご説明が印象に残りました。

 次に,後藤先生のご専門であるレーダー探査のデモンストレーションを見学させていただきました。通路でレーダーを動かすと,モニターに波形が表示され,その変化から通路下のコンクリート内部のようすがわかります。地下構造を目の前で具体的に読み解いていただいたので,生徒たちにとって大変わかりやすく興味深い見学となりました。

 見学の後,後藤先生からご講義をいただきました。地底を探る「物理探査」とは,実際に穴を掘ったりせず,電波や音波などを用いて行うものです。その必要性について,「人の身体を調べるときと同じ」というご説明が印象的でした。身体を調べるとき,いきなり手術せずCTやMRIで調べるように,地下を調べるときも闇雲に掘ったりしないで,まずは物理探査というわけです。しかも掘れる深さにも限界があり,深深度の地下探査や海洋底の探査には,物理探査が欠かせないということがよく解りました。