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SS基礎 学外サイエンス学習がはじまりました -京都大学理学部研修-

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 6月24日(火)の午後,高校1年生対象の学校設定科目「SS基礎」における本年度最初の「学外サイエンス学習」が行われました。この日は,同1年生52名の生徒が京都大学理学部に出向き,講義の聴講と施設の見学を行いました。

【京都大学理学部ならびに基礎物理学研究所湯川記念室見学】
 前半は,3人の先生方から順次ご講義をいただきました。
 最初に,坂東昌子先生から『高校生に望むこと―女性研究者として―』と題してご講義をいただきました。「湯川スピリット」と「コペンハーゲン精神」,人間のための科学を目指した「マリー・キュリー」,ナチ占領下におけるフランスで反戦活動に尽力した「ジュリオ・キュリー」そして国境を越えた科学者間の対等で平等な共同研究を目指した「ニールス・ボーア」についてお話し下さった後,先生ご自身が主宰されているNPO法人『あいんしゅたいん』の活動についてもご紹介下さいました。最後にお示し下さった『勉強することは自由になること(赤毛のアン)』というお言葉は,生徒にとって大変印象深く,研究者としてあるべき姿について考える良いきっかけとなりました。

 続いて,田中耕一郎先生から『光の物理学』と題してご講義をいただきました。ご講義の前半は「物理学を勉強するとどんなメリットがあるか」について,物理学者を目指す者達へ,生物や化学の研究をしたい者達へ,そして文系志望の者達へと,場合を分けて,それぞれ物理学を学ぶメリットについてわかりやすい例を交えてお話し下さいました。後半は『「光=電磁波」で見えない世界を視る』をテーマにして,「光の粒子性と波動性」,「γ線は霧箱で見ることができること」,「可視光は半導体で見ることができること」,「宇宙背景放射と宇宙の晴れ上がり」などについて学びました。また,ご講義では,黒いビニール袋は可視光に対しては不透明で中に何が入っているか分からないが,赤外線に対しては透明で袋の中が見えることや,可視光ではシリコン板は不透明であるが,赤外線に対しては透明であることなど,大変興味深い演示実験も見せて下さいました。そして「物理学は楽しい」というお言葉でしめくくられ,物理学への興味や学習意欲を一層深めることができました。

 最後に,早川尚男先生から『「15分で分かる湯川秀樹と基礎物理学研究所』と題してご講義をいただきました。まず,湯川秀樹博士の生い立ちから始まり,ノーベル賞受賞,そして基礎物理学研究所設立までの道のりを,設立精神とともにご説明下さいました。また,ご講義では,湯川博士は自然界の4つの相互作用のうちの1つである「強い相互作用」を発見されたこと,相互作用には粒子のキャッチボールが必要だということを明らかにされ素粒子物理学を切り開かれたことなど,湯川博士のご研究の意義について学びました。締めくくりにお示し下さった湯川博士のお言葉『一日生きることは一歩進むことでありたい』には大変深い感銘を受けました。 

 研修の後半は,ご講義でご紹介下さった「湯川記念館―湯川記念室」を見学させていただきました。そこは湯川博士が在籍時代にお使いになっていた所長室を湯川記念室として公開されている部屋であり,ご研究に関する専門書や資料などが所狭しと展示されていました。湯川博士直筆の論文も展示されており,貴重な経験をすることができました。