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福井県敦賀市で放射線の体験学習(SS研究チーム、科学部)

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3月28日(月)に中学生5人(中3生3人、中2生1人、中1生1人)が放射線の体験学習をしてきました。

11時前に福井大学附属国際原子力研究所に到着しました。最初に、所長の安濃田 良成先生(教授)から激励をいただきました。安濃田先生は、毎夏、福井県小浜市で開催される「SSH環境・エネルギー学会inOBAMA」で運営指導員もされ、本校の発表についてもご指導を賜っています。

次に、大阪大ご在職中から福井大へご転勤後も本校をご指導いただいています泉 佳伸先生(教授)と、この度の学習のコーディネートとご調整をしていただきました松尾 陽一郎先生(特命助教)から各研究室内の見学・解説と実習指導を受けました。

見学では、松尾先生から、生物に放射線がどういう影響を与えるか、ハムスターの細胞に放射線を照射して細胞分裂の様子を観察するための装置の解説を受けたり、泉先生のご開発であるマイクロ波を利用してDNAがどういう影響を受けたか調べるための装置(特許取得)などを実際に触れることができました。

このマイクロ波による技術は低線量の放射線被曝線量の評価にも応用されているそうです。また、原発から11kmほどの立地にあるこの研究所は、原子力防災や原子力以外も含めた広域災害について広く市民の皆さんへ学習する場を提供されてもいます。

生徒達も、原子力災害のときに着用する防護服やマスクに実際に触れたり、また、阪神淡路大震災から得た教訓として災害発生直後の時系列でどんな防災グッズが必要であるかを、実際に防災グッズを手にとって、なぜそれが必要なのかを学びました。

防護服はとても軽いこと、防護服では放射線は防げないこと、防災グッズは闇雲に揃えるのではなく、災害発生直後(0次)、災害の状況がわかり始めて(1次)、避難生活が長引く場合(2次)とわけて何が必要なのかを考えることなど、商品リストではなく実際に莫大な数の実物展示を実際に手に取ることで考えることができました。なお、大規模災害における敦賀市の広域避難先は、福井県内では西へは小浜へ、東へは嶺北地方へ、そして県外へは私たちの奈良だそうです。

見学の後は、福島で実際にどういう食品検査が行われているのかをNaIシンチレーションと200kgほどある分厚い鉛で覆われた測定箱、実際に食品を入れるマリネリ容器を用いて、乾燥昆布、ひじき、玄米、白米、乾燥バナナの放射能濃度の測定を体験しました。

実際に昆布やバナナを測定してカリウム40のピークがスペクトルに現れることや何Bq/kgの放射能濃度なのかも測定体験できました。実際の研究では60分以上の長時間の計測をされることから、今回は時間が誤差に与える影響を、10分間と1分間で相対誤差がどう変わるかを実際に測定して確かめることもできました。

研究所での最後は、大学生や大学院生の皆さんと交流会がありました。「福井大学の数ある理系研究室の中でも原子力や放射線の研究ということで家族の反対はなかったか」に対しては「おばあちゃんが心配しているようで、でも実際は危険なことはしていないし、不安を払拭できるようにきちんと伝えて行かねば」と回答いただいたり、「計測器が結果を出すのに1時間以上かかるとき何をしていますか」に対して、「調べものをしたりしている。大学は何をしなさいと言われないので自分でどう余った時間を過ごすかは研究ではとても大事」と教えてもらったり、生の声を聞くことができてとても貴重な体験となりました。

午後は、泉先生にお車で福井原子力センターの「あっとほうむ」(科学館施設)へ送っていただき、宮下洋美先生から解説を受けました。福井県内の小学校にもあるモニタリングポスト(ほうしゃせん見守り隊という装置)、福井県になぜこんなに多くの原発が建てられてきたのか、もんじゅや高浜の各燃料集合体の実物モデル、ウラン鉱石から核燃料ができるまでの実際のレプリカ、霧箱による環境放射線の観察などを解説いただきました。

その後、核分裂で崩壊熱が出ることや制御棒で崩壊を抑えていくことなど理解する参加体験型装置を実際に体験したり、東京電力提供のビデオで東京電力福島第1原子力発電所の事故直後から現在までの変化を学びました。また、春休みのイベント期間中でもあり、水素燃料電池カーやクッキングに関わる実験も多く体験できました。生徒達は早朝に自宅を出て、夜に帰宅するまで、実に盛りだくさんの実物体験と学習ができ、とても貴重な一日となりました。

安濃田先生、泉先生、松尾先生、宮下先生、たいへんお世話になりました。ありがとうございました。