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SS国内研修「里の連環学習-コウノトリとヒトの共生-研修」を行いました

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 9月20日(日)から23日(水)の4日間、兵庫県豊岡市でSS国内研修「コウノトリとヒトの共生」研修を行い、高校2年生7名が参加しました。
 初日は、兵庫県立コウノトリの郷公園にて豊岡市コウノトリ共生課の宮下課長に、これまでの豊岡市のコウノトリ保護の歴史について説明をいただき、公園内を見学しました。コウノトリの野生復帰のためには周囲の環境も重要な要因であり、その保全のために休耕田・放棄田を復帰させて生物多様性を維持する取組についても説明いただき、ただコウノトリをふやして放鳥するだけでは決して「保護」することにはならないことを学びました。その後、ハチゴロウの戸島湿地へ移動し、NPO法人コウノトリ湿地ネット代表の佐竹先生と永瀬先生より今回の研修のオリエンテーションを受け、この研修中の「課題」が伝えられました。
 2日目は、田結地区の休耕田を見学し、生物多様性を守るためにどのような環境を作り出すべきか、実地で学習しました。シカやイノシシの痕跡が見られるなど、里山の動物たちの息づかいを感じつつも、放棄された田や深く根付かずに倒されたスギの木など、荒れ果てた田をどのように生物多様性の復帰につなげなければならないかを考えさせられました。午後は近畿大学附属豊岡高等学校の生徒さんと共同で、休耕田を湿地に復帰させる作業を行いました。近畿大学附属豊岡高校鸛部のみなさんは普段から田結地区の湿地で作業をされているとのことで、昨年から研修時に共同で作業を行わせてもらっています。作業の中で生徒間での交流も生まれ、コウノトリに飛来してもらうためにはどうしたらいいかを考えながら水路を作っていました。
 3日目は「コウノトリ育む農法」を実践されている農家の成田さんを訪ね、転換の経緯や実践についてお話を伺いました。農家にとっては、転換するにはそれだけのメリットがなければなかなか踏み出すのは難しいという話もあり、「環境を守るため」と口で言うのは簡単だが、実践しそれを広めるためにどのようにすればよいのかも考えなければならないことに、生物多様性を守る難しさも学ぶことができました。その後、成田さんの田んぼに移動し、稲刈り作業を手伝わせてもらいました。午後はハチゴロウの戸島湿地へ移動し、NPO法人コウノトリ市民研究所の北垣先生より、豊岡市を流れる円山川下流域の魚類についての講義を受け、湿地の水路に入り込んでくる魚類の観察を行いました。円山川は河口からかなり遡っても標高差が少ない川であり、仕掛けておいた定置網には海水生の魚類も多く入っており、多様な生物がいきられる環境というのもコウノトリの生息にとって重要な条件なのだと実感させられました。
 4日目は初日に与えられた「課題」について、生徒の個人発表会が行いました。課題は、「この研修で学んだことのまとめ」です。生徒たちは夜のうちに持参したパソコンで資料を作成し、今日の発表に備えてきました。農法に関することや休耕田の利用法、経済的な面からの支援など、それぞれの予備知識も活かしながら、生物多様性をとりもどすためにどのような取組が考えられるかを発表しました。午後は豊岡市の中貝市長を表敬訪問し、先ほどの発表の内容を市長に提案するという形でお話を聞いていただきました。提案を聞いていただいた市長からは、実際に豊岡市でどんな取組を行っているか、また、やってみてうまくいったこと・うまくいかなかったこともお話いただき、生徒たちの熱意に対してお褒めの言葉もいただきました。さらに市長からは、「人の心を動かして、味方を増やすこと」、「コウノトリが住める街、ではなく、コウノトリも住める街にしていきたい」というお考えで市政に携わっているというお話もいただき、将来、このような分野に携わりたいと考えている生徒たちにとって非常に示唆に富むお話をいただきました。
 生物多様性について実地的に学ぶ機会が得られ、生徒たちは充実した4日間を過ごすことができました。机上での学習だけでなく、実際にフィールドに出て、環境を保全することを肌で感じながら得た経験は、これからの学習にもきっと役に立つことでしょう。