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SS国内研修「森の連環学習-ブナ林とヒトの共生-研修」を行いました

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 8月24日(月)から27日(木)の4日間、青森県西津軽郡深浦町の十二湖でSS国内研修「ブナ林とヒトの共生」研修が実施され、高校2年生10名が参加しました。
 初日の午後に現地に到着し、さっそく十二湖海浜公園から海岸沿いに歩いて、海浜植物の観察を行いました。普段は海のない奈良で生活している生徒たちは、海沿いで育つ特徴的な植物を観察することで、さまざまな状況に適応する生物の力強さを感じながら、対馬海流が流れ込むこの地域だからこそ生きられる植物が多く分布していることを実感することができました。また、夜間にはウミホタルの観察と、天体観測を実施しました。ウミホタルの放つ青白い光とともに、奈良の空とは異なる「満天の星」を眺めながら、引率教員の説明に耳を傾けていました。
 2日目は柳町明男先生のガイドで白神山地に入り、植物相を中心とした研修を行いました。有名なブナ自然林をはじめ、わたしたちが住んでいる近畿地方の森林とは異なる夏緑樹林の中を歩きながら、植物の多様性を実感しました。柳町先生の解説には、普段の生活でどのように植物を利用してきたかという話が多く登場し、直接的に食べること以外にも衣料品や生活用品としての利用も紹介され、自然を上手く取り入れながら太古の昔からこの地域の人々は生活していたのだと実感させられました。
 3日目は板谷正勝先生のガイドで、動物相を中心とした研修を行いました。板谷先生はマタギ(猟師)をされていたベテランのガイドさんで、この数十年でどんなに山が変わってきたかということもお話しいただきました。昨年は樹齢が300年を越えているブナの大木にも案内していただけたのですが、残念ながら昨年の強風で倒れてしまったようで、今年の見学コースでも、倒れた大木が多く見られたり、通行止めや迂回路に回ったりしたところがたくさんありました。しかし、古い倒木にはキノコがたくさん生えていたり、倒れて残った部分から新しい芽生えが見えたりと、倒れて朽ち果てた木々も自然を構成する大切な一部分として利用されているという循環のようすも実感することができました。まとめの講義では、板谷先生がマタギをされていたころに着用されていた動物の毛皮や雪ベラなどの装備品なども見せていただき、実際に毛皮を羽織らせてもらい、人は自然をいかに生活に利用してきたか実感することができました。また、この日も天気がよかったので、夜間に天体観測を急遽実施しました。北斗七星もくっきりと見え、奈良とは違う夜空の見え方をしっかりと堪能することができました。
 4日目は十二湖エコ・ミュージアムセンター湖郷館を訪ね、これまでの研修のまとめを行いました。白神山地の豊かな自然を実感するとともに、その豊かさを享受してきた人のくらしを垣間見、自然が循環することの大切さを学ぶことができました。一方で、白神山地でも目立つようになったナラ枯れへの対処も、青森県と、隣接する秋田県で異なっているなど、自然は一つなのに場所によって対応が違ってくる例も知り、生態系の変化が危惧される状況にどのように対応しなければならないかを考える機会になったのではないでしょうか。この研修で学んだことを、これからの里山での環境学習や課題研究にも役立てて欲しいと思います。