ニュース&トピックス

ニュース&トピックス

京大研修会を実施しました(前編)

  • 京大研修会を実施しました(前編)
  • 京大研修会を実施しました(前編)
  • 京大研修会を実施しました(前編)

 12月13日(金)、中学3年生と高校1年生が京大研修会に参加しました。
 午前の研修は、基礎物理学研究所の特任教授を務める湯川記念財団代表理事の九後太一先生と、湯川秀樹研究室出身、現在はNPO法人知的人材ネットワークあいんしゅたいんの理事長を務める坂東昌子先生のお2人による特別講義を受けました。
 まずはじめに、九後太一先生から「湯川秀樹と物理学」というテーマでご講義いただきました。湯川先生が京大理学部に入学した1926年当時は、量子力学の分野で次々と新発見がなされていました。世界に追いつき追い越そうと研究に没頭した湯川先生の意気込みは、「原子核、量子電気力学ノコトヲ、一刻モ忘レルナ」と記された短冊などを見てもわかります。世界有数の研究者たちが原子核の構造を解き明かしていくなか、湯川先生は1935年に初めて中間子の存在を指摘し、その質量までも予言しました。予言通りパイ中間子が1947年に発見され、2年後の1949年、湯川先生は日本人初のノーベル物理学賞を受賞します。ファインマン図や数式を使った講義は難しい部分もありましたが、生徒からは「湯川秀樹先生の研究のすごさが伝わってきた」という声が聞かれました。
 次に坂東昌子先生に「物理屋が生物研究に関わって -人生の豊かさ」というテーマでご講演いただきました。大学進学する女性への偏見が世の中にまだ色濃かった時代、坂東先生は「今の社会に合わせて生きるのではなく、社会の進歩を自ら作ること」という恩師の教えを胸に、物理学者としての道を歩んでこられました。湯川秀樹先生から感銘を受けたことのひとつが、他分野に対する興味の広さだったと言います。そして東日本大震災以降、国内外に広がった不安や混乱を科学の危機と捉え、物理学者と生物学者の垣根を越えた交流が回復の鍵だと述べられました。質疑応答の時間には、「放射線治療で効果が出るがんと、そうでないがんがあるのは、なぜですか」などの質問が上がっていました。