ニュース&トピックス

ニュース&トピックス

本年度第2回SS出前講義を行いました

  • 本年度第2回SS出前講義を行いました
  • 本年度第2回SS出前講義を行いました

 9月29日(木)、本年度の第二回SS出前講義を大教室にて行いました。今回は、大阪教育大学の堀一繁先生を講師にお迎えし、『香料から液晶テレビまで~鏡像異性体と旋光そして未来のテレビ~』をテーマに講演していただきました。

 講義では最初に、鏡像異性体とは何か、そして、その旋光度がプラスかマイナスかによって性質が違うことを学びました。生徒達は旋光度の変化に関しては板を使って観察したり、旋光度のプラスとマイナスの違いを確かめる為に2種類のメントールの香りを実際に嗅いで比べたりすることで、その違いを実感しました。私たちの身の回りにある香料も、そのような鏡像異性体のひとつです。食品や医薬品でも、旋光度の違いによって鏡像異性体間で、味や効能が違うとのことです。必要な鏡像異性体を作り分ける研究は現代のノーベル化学賞の対象にもなっているとのことで、生徒たちは興味津々な様子で先生のお話に聞き入っていました。

 鏡像異性体は光学活性化合物とも呼ばれています。身の回りの光学活性化合物としては、近年、生分解ポリマーが、マイクロプラスチック問題の解決のために注目されています。

 その他の光学活性化合物としては液晶があります。液晶は液体と結晶の両方の性質を持っており、圧力と温度によって液晶の状態が変化することを、生徒達は液晶の板を触りながら観察しました。そして、液晶を使ったテレビの仕組みや、今後テレビなどの映像技術がどのように進化していくのかを、すでに開発されている有機ELテレビを例に挙げ解説していただきました。さらに、ある映画に登場した新聞の写真が動画再生される技術も、現在ではカラーでの表現が可能になっていることなども紹介されました。

 また、太陽電池の分野でも、これらの研究をもとに新しい有機材料系の太陽電池が開発されてきているそうです。

 最後に生徒から、「将来、有機ELに替わるものが出てくる可能性はありますか。」という質問があり、堀一繁先生は、「有機ELの原料には石油やレアメタルを使用していますが、現在、そのような原料を使わないホログラムが注目されています。皆さんが社会人になるころにはホログラムの時代が来ているかもしれません。

本日の講義で説明したとおり、高校で勉強する化学の知識は、最先端の研究にも生かされています。皆さんは、これらの高校で学んだ知識を実社会でも生かしていってください。」と締めくくられ、出前講義を終了しました。