スーパーサイエンスハイスクール(SSH)

SSH講座

本年度第三回SS出前講義を行いました

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 10月20日(木)、本年度の第三回SS出前講義を大教室にて行いました。今回は、大阪教育大学准教授の乾陽子先生を講師にお迎えし、『軍事防衛する植物~自然は美味しくない?』をテーマに講演していただきました。

 今回の講義は生徒達がタブレットを使い、先生からの質問に回答し、その回答がスライドに反映される形式で行われました。まず、乾先生からの、「どれくらいの植物が食べられているのか」という質問に対して、生徒達は「かなりの割合で食べられている」とタブレットを使って回答しましたが、実際には昆虫や動物などに食べられてしまう量は、そんなに多くは無いとのことです。植物は天敵が来ても逃げも隠れもできないため、トゲ・毛・表皮などの『物理的防衛』、毒・悪臭などの神経や消化に有害な物質を生産・分泌する『化学的防衛』、時期や場所をずらす『逃避的防衛』、アリのような攻撃性のある生物を誘引したりする『生物的防衛』という防衛戦略を持っていると乾先生から説明がありました。

 その中の『化学的防衛』では、カフェイン、ニコチン、コカインなど、動物の中枢神経に作用するアルカロイドのような神経毒を植物は作り出しています。また、カテキン、タンニン、イソフラボンなどのフェノール類は動物の消化不良をおこしたり、ホルモンの作用を攪乱したりします。テルペン類であるピレスロイド、メントール、リモネンなどは殺虫・殺菌作用、忌避芳香があります。このように自然の植物が危険と毒に満ちあふれているためです。あまり植物が食べられていないのは、人間がこういった植物の化学物質を、医薬品・嗜好品・サプリ・日用品・化粧品などに利用しています。

 また、人間にとって植物は食料でもあります。そこで乾先生から、「食べる植物(野菜)を君はどう選んでいるか」という質問があり、生徒達は、「無農薬のほうが身体に良いと思うので、そういったものを選んでいる」、「遺伝子組換のものは未知数なので避けている」、「生産効率を考えると農薬の使用も容認しないといけないがいい」などと、タブレットを使って回答し、スライドに表示されました。そのような生徒達の意見に答えるかたちで乾先生からは、有機栽培や遺伝子組換え作物の定義が説明されました。また、植物の毒や不味さ、可食部が少ないことが品種改良によって改善された結果、元々、自然の植物が持っていた動物に食べられないための植物の工夫が無力化され、農地とは「武装解除された美味い植物が大量に植えられている状態」ともいえると説明されました。

 もし、農薬が使われなければ、作物は自身の化学兵器を増強し、えぐみや毒が増加した結果、収穫量が減ってしまいます。農業とは自然な植物を不自然に大量に育てる営みであり、農薬とは、自力で防衛できない自然な植物を人間が防衛の手助けをする化学兵器と考えることもできます。この解説の後、乾先生からは生徒達に対して、「あなたたちは消費者(農作物を消費する人)として、何ができるだろう」という質問が投げかけられました。生徒達からは、先ほどとは違った視点の意見が多く出されました。乾先生は、「どこかのだれかが、安全で良いものを作ってくれて当然だという考えはどうなんでしょうか。これからは、想像力をはたらかせて生産者の現状を知ることが重要な時代になってくると思います。」と話されました。

 最後に、「農薬の安全基準はどのように決められているのか」、「工場で生産される野菜は農薬を減らすことができるのではないか」など、スライドに表示しきれないくらいの生徒達からの多くの質問ひとつひとつに、乾先生は、丁寧に答えてくださいました。乾先生、長時間ありがとうございました。

本年度第2回SS出前講義を行いました

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 9月29日(木)、本年度の第二回SS出前講義を大教室にて行いました。今回は、大阪教育大学の堀一繁先生を講師にお迎えし、『香料から液晶テレビまで~鏡像異性体と旋光そして未来のテレビ~』をテーマに講演していただきました。

 講義では最初に、鏡像異性体とは何か、そして、その旋光度がプラスかマイナスかによって性質が違うことを学びました。生徒達は旋光度の変化に関しては板を使って観察したり、旋光度のプラスとマイナスの違いを確かめる為に2種類のメントールの香りを実際に嗅いで比べたりすることで、その違いを実感しました。私たちの身の回りにある香料も、そのような鏡像異性体のひとつです。食品や医薬品でも、旋光度の違いによって鏡像異性体間で、味や効能が違うとのことです。必要な鏡像異性体を作り分ける研究は現代のノーベル化学賞の対象にもなっているとのことで、生徒たちは興味津々な様子で先生のお話に聞き入っていました。

 鏡像異性体は光学活性化合物とも呼ばれています。身の回りの光学活性化合物としては、近年、生分解ポリマーが、マイクロプラスチック問題の解決のために注目されています。

 その他の光学活性化合物としては液晶があります。液晶は液体と結晶の両方の性質を持っており、圧力と温度によって液晶の状態が変化することを、生徒達は液晶の板を触りながら観察しました。そして、液晶を使ったテレビの仕組みや、今後テレビなどの映像技術がどのように進化していくのかを、すでに開発されている有機ELテレビを例に挙げ解説していただきました。さらに、ある映画に登場した新聞の写真が動画再生される技術も、現在ではカラーでの表現が可能になっていることなども紹介されました。

 また、太陽電池の分野でも、これらの研究をもとに新しい有機材料系の太陽電池が開発されてきているそうです。

 最後に生徒から、「将来、有機ELに替わるものが出てくる可能性はありますか。」という質問があり、堀一繁先生は、「有機ELの原料には石油やレアメタルを使用していますが、現在、そのような原料を使わないホログラムが注目されています。皆さんが社会人になるころにはホログラムの時代が来ているかもしれません。

本日の講義で説明したとおり、高校で勉強する化学の知識は、最先端の研究にも生かされています。皆さんは、これらの高校で学んだ知識を実社会でも生かしていってください。」と締めくくられ、出前講義を終了しました。

第1回 SS公開講座「葉を巻く虫と葉の形の不思議な関係」を行いました

  • 第1回 SS公開講座「葉を巻く虫と葉の形の不思議な関係」を行いました
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 9月24日(土)、本校卒業生である、東京大学理学系研究科助教の樋口裕美子先生をお迎えし、本校生徒と保護者の皆さんに向けて、第1回SS公開講座、「葉を巻く虫と葉の形の不思議な関係」を開催しました。

 最初に現在、樋口先生の研究の場である、東京大学大学院理学系研究科附属植物園『小石川植物園』の紹介がありました。この植物園は元々、徳川幕府の薬園で、東京都内の約16haの敷地に約4,000種の植物を栽培する近代植物学の発祥の地とされています。日本屈指の数の植物標本を収蔵する植物園でもあり、研究室では植物と昆虫の関係についての研究がされています。

 樋口先生はその研究室で、自然界で生物が周囲環境と関わって『どのように生きているか』を明らかにする『生態学』を研究されています。研究テーマは、『昆虫と葉の形の関わり』です。昔、相手の通り道にわざと落として相手に思いを伝えた巻き恋文である『落し文(オトシブミ)』のように葉を切り取って巻き恋文のようにする、『オトシブミ』という昆虫の研究をされています。講座ではオトシブミが、どのように葉の裁断位置を決定しているかや、巻き上げの方法を観察した結果と、それを元にした仮説について解説していただきました。樋口先生は、葉の形が昆虫の加工を妨げることを、実験によって初めて明らかにされています。2021年からは、オトシブミの生態をもっと知りたいと、通年飼育をしながら実験に取り組まれています。

 また、高校から今までの進路選択についてもお話しいただきました。樋口先生は高校に進級する時に理系に進むことを決心されたそうですがを選択、高校では物理と化学を選択され、高校2年生までは進路先に生物を考えておられなかったそうです。そんな中、ある日、「電車から見える植物の名前も知らない!」と思ったことがきっかけで生物学を志し、京都大学農学部に進学。そこで先輩の大半が博士課程に進学する生物系サークルに入り、周りの人達に刺激を受けたのが研究者になったきっかけだそうです。大学教員の第一の仕事は研究で、その研究とは、『自分自身の好奇心に基づいて新しい知見を自分で一から見出して発信すること』にあるとおっしゃっていました。

 講座終了後には質疑応答が行われました。保護者の方からの、「研究者として大切な資質とは何でしょうか」という質問には、「明らかにしたいことがあって、それに愛着と好奇心をもって取り組める資質は必要です」という意見をいただきました。生徒達からは解説していただいたオトシブミに関して、「葉を巻いている途中で振動が与えられると、どうなるのでしょうか」、「オトシブミはどれくらいの葉の厚さまで切断することができるのでしょうか」、「葉を落とす虫は他にもいますが、なぜ、オトシブミの研究をされたのでしょうか」などの活発な質問が投げかけられました。質疑応答の後、持ってきていただいた葉を巻いたオトシブミを生徒達は間近で興味深そうに観察し、樋口先生と交流を深めていました。

第1回SS出前講義を行いました

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 9月22日(木)、大阪教育大学 講師の若杉祥太先生をお招きして、第1回SS出前講義を開催しました。テーマは「情報技術の発展と大学での学びに求められる力 ―データサイエンス超入門の学びを通して―」です。AIやビッグデータなどの活用が進む現在、データサイエンスはますます重要な学問となっています。

 講義でははじめに、「コンピュータ」というワードから関連語をたどって「鹿」にたどりつくように単語を書き出していく「強制連結法」のワークショップを行いました。これは特定の物事について自分の既有知識を把握するための手法の一つです。

 続いて、コンピュータの祖となった計算機の発明やインターネットの誕生など、現代のデータサイエンスに至るまでの歴史を解説していただき、スーパーコンピュータ「富岳」についての動画を鑑賞しました。また、統計学で重要な概念である「標準偏差」について、エクセルデータを通して学びました。

 最後には大学を選ぶ際に注目するべきポイントについて、若杉先生から実体験を交えたお話がありました。これから進路を決めていく生徒たちにとっても刺激になったことと思います。

第1回SS出前講義を開催しました

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11月24日(火)、本校サイエンス館地学教室にて、9月の予定から延期となっていた第1回SS出前講義を開催しました。大阪教育大学の神鳥和彦先生をお招きし、「空気と水の理解に向けて」と題した講義を行っていただきました。神鳥先生には、5年前のSS講義にもお越しいただき、そのときは「光触媒性能を有するチタンアパタイト粒子の調製と応用」というテーマでご講義をいただいています。
 講義の最初は、大気圧という概念が約300年前に発見されたことから説明されました。トリチェリーの実験の再現映像やマグデブルグ半球の実験の再現などを通して、昔の科学者たちが大気というものをどのように捉えてきたかを、演示実験を多数取り入れながら説明してくださいました。また、空気の重さを理解するためにペットボトルやゴム風船、紙風船に入れた気体の重さがどのように違うのか、浮力の話にからめてご説明いただきました。これらの考え方は吸盤のしくみなど、身のまわりの生活にも大いに役立てられていることにも触れられ、生徒たちは実感を持ちながら理解することができました。
 そして、空気という見えない物質の測り方を、ペットボトルと、ゴム風船、紙風船を用いて、目の前で実験してくださり、生徒たちもその結果と方法をプリントに熱心に書き留めていました。続いて、大気圧と水の沸点の関係についても触れられ、水を沸騰させても状況によっては100℃まで上がらないことが多いことや、温度計の正しい使い方など、何となくは理解しているものの、実際に見たことがない事象も論理立てて説明いただき、「モノを見るというのが実際の理科である」と述べられました。その後、空気を圧縮して紙を燃やす実験や、大気圧による一斗缶つぶしなど、お言葉通りたくさんの実験を演示していただきました。
講義後の質疑応答では、「水の温度を正確に測るにはどのような温度計がよいのか」や「山の上でご飯を炊くときは炭酸水を使うとおいしいと聞いたことがあるがそれはなぜか」という生徒からの質問にも的確に答えていただきました。最後に、神鳥先生は「多くの学生さんが少しでも興味をもち理科系に進学されることを希望しています」と想いを述べられ、講義は終了しました。
普段から身近にある空気と水、その不思議な力を、数多くの実験を交えた講義をしていただき、生徒たちも改めて深く興味関心をもったのではないかと思います。

第3回SS出前講義を開催しました

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 11月12日(木)、本校サイエンス館生物教室にて、第3回のSS出前講義を実施しました。
 今回は大阪教育大学から生田享介先生をお招きし、「甲殻類学入門」と題した講義を行っていただきました。
 まず澄川先生から、生田先生のご紹介とともに、「生田先生は11年前、SS出前講義の大阪教育大学のトップバッターとしてご講義をいただきました。前回お越し頂いたときは「生物の系統分類」という分類のお話でしたが、本日は生田先生の専門分野である甲殻類のお話です。実習も行われる予定なので、みなさんもたくさん学んでもらえたらと思います」と挨拶がありました。
 講義は、身近な甲殻類である「エビ」「カニ」「ヤドカリ」の分類から始まりました。スライドでは見やすく細分化された分類階級を紹介していただき、普段耳にする「甲殻類」の「類」という語は分類学では使われず、たとえばエビであれば「動物界 節足動物門 甲殻綱 十脚目 長尾亜目」になるということを説明していただきました。生徒たちは講義を傾聴し、熱心にプリントに書き留めていました。
 実習では、エビと同じく甲殻綱に分類されるダンゴムシの観察を行いました。普段、下から見ることはほとんどないダンゴムシですが、生徒たちは興味をもってルーペで細かく観察し、エビと似ている部分を探していました。
 「恐竜とトカゲ・ヘビ」という分類よりも、「恐竜と鳥」の方が分類学上では近い関係にあることも説明され、「一般的な感覚と進化の道すじが合わない場合があることも覚えていてください」との生田先生の言葉で締めくくられ、講義は終了しました。
 講義後には生徒からの質問もあがり、生田先生も丁寧に答えてくださいました。身近な生き物に対する理解がより深まった講義となりました。

第2回SS出前講義を開催しました

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 9月17日(木)、本校サイエンス館視聴覚室にて第2回目のSS出前講義を開催しました。
 今回は大阪教育大学から吉本直弘先生をお招きし「気象情報の見方と使い方...気象災害から身を守るために...」と題した講義を行っていただき、1年生を中心に48名の生徒が受講しました。

 まず、初めに河合校長から吉本先生のご紹介に続き「今日、お話されることは、まさに今、考えなければならない課題です。ぜひ科学的な関心を深めてもらいたい」と挨拶の言葉がありました。

 冒頭に地球と月の大きさや距離を例に、思い込みと実際のギャップを通して、災害時にそういう特性が人間の行動に影響することをお話されました。「そんなつもりだったのだけれども、本当はどうなの?」という追求が常に必要であることを教えていただきました。

 気象に関しても、ニュースや気象情報を例に、日頃、多くの情報が、思い込みの上に成り立っていることを知りました。緊急の場合、そういった思い込みにより、自然災害を生む可能性があるそうです。また、メディアを通して伝えられる大雨注意報や大雨警報、土砂災害警戒警報、さらには大雨特別警報など、言葉の定義についても学びました。

 続いて4人で1組のグループとなりワークショップを行いました。シミュレーションで仮に設定した台風接近に伴い、自分たちはどのタイミングで、どのように行動すべきかを話し合いながら決めていきました。ハザードマップといくつかの避難所が記された地図、家族構成などを記載したカードがチームごとに配られ、それに基づいて、命題の検討を進めました。

 最後に先生から「災害は『まさか』ではなく『いつか』起こると意識していることが大切です。自分だけは大丈夫だと思わないように、自分や家族の大切な命を自分たち自身で守ってください。そして、今日ここで聞いた話は、ぜひご家族や友だちに伝えてください」とお話がありました。

第6回SS出前講義を開催しました

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 2月1日(土)、大阪教育大学柏原キャンパスを訪問し、第6回SS出前講義を行いました。天文学研究室の松本桂先生が、「冬の星空で探る星の一生」をテーマに講義をしてくださいました。最初の1時間は座学で、恒星の定義から始まり、恒星が輝く仕組みやエネルギー放射量の計算方法について学びました。恒星は星間ガスから生まれ、主系列星として長い年月を過ごしたあと、水素を使い果たして一生を終えます。このあとに観察するオリオン座のベテルギウスも、最近光が弱まっており、星が迎える最期のひとつである超新星爆発が近いと見られています。またこの日は幸運なことに、「月面X」が出現する日でした。「月面X」とは、半月の光と影の境目に「X」と読めるクレーターが浮かび上がる現象です。年に数回しか観察できませんが、この日は2020年でもっとも条件の良い日で、天体観測への期待が高まりました。
 学生食堂で夕食のあと、星座早見盤を配布された生徒たちは、班に分かれて順番に天体観測と座学の続きを行いました。天体観測では屋上に移動し、天体望遠鏡と、大阪教育大学が誇る天文台の口径51cm反射望遠鏡を使って月とベテルギウスを観察しました。引率や望遠鏡のセッティングをしてくださったのは、天文学研究室の学生さん3名です。生徒たちはかわるがわる望遠鏡を覗き、「『月面X』が見えた!」と驚きの声をあげたり、赤っぽい光を放つベテルギウスを眺めたりと、感心した様子でした。
 一方教室では、国立天文台が提供する3D天体シミュレーター「MITAKA」と3Dメガネを使って、立体的なプラネタリウムを体験しました。地球を出発して太陽系の惑星をめぐり、最後には138億光年先の「宇宙の果て」にたどり着きました。普段の授業だけでは想像しにくい宇宙の魅力やスケール感を、天体観測や講義を通じて体感することができました。

第3回SS出前講義を開催しました

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 9月13日(金)、本校サイエンス館視聴覚室にて第3回目のSS出前講義を開催しました。今回は大阪教育大学から鵜澤武俊先生をお招きし「生物の様々な共生」と題した講義を行っていただきました。
 まず、初めに松尾校長から簡単な挨拶の言葉がありました。本校がスーパーサイエンスハイスクール指定校で、一流の研究者の方に話をしていただく機会に恵まれていることに触れ、できれば憧れをもってほしい、大学を選ぶときの参考になるかもしれないと述べました。
 講義の内容は、生物の共生についての解説でした。2種類の生物が共生するとき、「両方が利益を得る」「片方だけが利益を得る」「お互いが不利益をこうむる」といった基本的な変化について写真入りのスライドを用いて鵜澤先生が詳しく説明。生徒たちは熱心にメモをとりながら耳を傾けました。
そして、講義の後は質疑応答の時間です。「共生する時期は決まっているのですか?」や「先生はなぜ共生に興味をもたれたのですか?」など、生徒たちが積極的に質問しました。
 「共生についてまったく知らなかったけれど、写真をたくさん見せてもらえたので、理解しやすかったです」「今まで物理の世界が好きでしたが、今日の講義を聞いて生物も面白いと思いました」と刺激を受けた出前講義になったようです。

第4回SS出前講義を開催しました

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 9月26日(木)、本校サイエンス館視聴覚室にて第4回目のSS出前講義を開催しました。今回は大阪教育大学から久保埜公二先生をお招きし「結晶の構造と性質」と題した講義を行っていただきました。まず、初めに松尾校長から挨拶の言葉がありました。普段は接することがない一流の研究者の話を聞く機会を通じて、科学に対する憧れをもってほしい、また大学の進路選択の参考にしてほしいという言葉が生徒たちに届きました。
 講義は結晶についての解説でした。結晶とは原子・分子が規則的に並んでいる固体を指すという基本の話からはじまり、結晶の規則性やでき方、身近にある結晶の紹介など、いくつかの切り口で、久保埜先生がわかりやすく説明してくれました。写真を載せたスライド以外に、結晶の実物も用意されていて、熱心に観察する生徒もいました。「氷など意外なものが結晶だと教わり、興味が沸きました」「小学生のとき理科の実験で結晶をつくりましたが、今日はその結晶の仕組みについても理解することができて面白かったです」と生徒たちの感想です。

第2回SS出前講義を開催しました

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 7月22日(月)、本校サイエンス館生物教室にて第2回目のSS出前講義を開催しました。今回は大阪市立大学から足立奈津子先生をお招きし「石灰岩から探る海洋生物の進化と海洋古環境」と題した講義を行っていただきました。
 まず松尾校長から足立先生のご紹介と共に、「かつては高校生が直接、このように研究者の先生からお話を伺うことなど、夢のまた夢でした。皆さんはこのチャンスに、しっかりと視野を広げてもらいたい」と挨拶がありました。
 時代は4億年以上前のカンブリア紀やオルドビス紀、つまり地球に生命が誕生した頃の話です。原始の海でバクテリア生物が発生し、地球上の大気に酸素を供給すると同時に、カンブリア紀にはサンゴを含め石灰質の殻や外骨格を持つ生き物が爆発的に出現しました。やがてその死骸が海底に沖積し、石灰岩として現在に残されています。こうした石灰岩から読み取ることができる痕跡をスライドで示しながら、過去の地球の環境や生命の進化について教えていただきました。
 さらに講義の中で、化石を採取するために全国各地やモンゴル、中国などで野外活動をされた時の楽しさも伝えていただきました。特に何日もテント生活をしながら、地元のさまざまな料理を楽しんだことなども紹介していただきました。後半はスライスした石灰岩のサンプルを、光学顕微鏡で観察しました。
 生徒たちは顕微鏡を覗きながら、縞模様のように積み重なったストロマトライトや、紡錘形のフリズナ、二枚貝や巻貝、ウミユリの断片、糸が絡んだようなバクテリアの化石を発見する度に、「見えた!」と感動していました。また、生徒たちは、教壇に並べられた生命の痕跡のある大理石や石灰岩を実際に手に取りながら、想像を絶する長い年月の重さを感じていました。
 最後に足立先生から、「今日の講義は、実は大学院生が聞いても難しいと感じる内容だったかもしれません。でも真剣に受けてくれましたね。これから少しでも古生物に興味を持ってもらえればと思います」とお話しがありました。

第1回SS出前講義「データサイエンス入門」を開講しました

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6月27日(木)、視聴覚室にて大阪教育大学の喜綿洋人先生をお招きし、高1生を対象にした第1回SS出前講義「データサイエンス入門:相関係数から実験計画法へ」をテーマに開講しました。

まず、松尾校長から喜綿先生の紹介があり、加えて「データサイエンスはデータから価値を導き出していこうとする科学です。みんなにとって今後、必ず必要になってくるものです」と挨拶がありました。

喜綿先生より、スライドを示しながら「論理的推論と確率的推論(統計的推論)」「データ分析の特徴」「統計の基本」、最後に「実験計画法」について、ご講義いただきました。
専門用語で表すと、難解な数理理論の勉強をしているように感じますが、「地球の自転に伴い偏西風が生じ、台風が東向きに進む」という、ニュースの中でも登場するごく当たり前の事象に基づいて、論理的推論をわかりやすく説明をしていただきました。
また、データ間の相関についても、実際に論文としてもある「チョコレートの消費とノーベル賞受賞者の数の関係」を例に、相関性から導き出される事象の特性について、楽しく教えていただきました。

続いて、データの集合から、その特徴を得る方法として、平均値だけではなく、メディアン(中央値)、モード(最頻値)があることを学びました。そして平均値が必ずしもデータの特徴を正しく表しているわけではないことを教えていただきました。
その他、統計的な推移と母集団について、あるいは分散分析についてや推測統計学の概要等、データ分析に不可欠な知識についてわかりやすく図や数式を示していただき、説明してくださいました。
さらに実験計画法では、考慮しなければならない複数のパラメータがある課題において、実験回数を減らす方法についてのお話をしていただきました。

講義の終了後、一歩先の大学で受ける統計学授業のような、盛りだくさんな講義内容に、生徒たちは大いに知的刺激と影響を受けたに違いありません。

第2回 SS公開講座を開催しました

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 2月9日(土)大教室にて、 『医学と生命科学』〜臨床医と研究者の立場から〜というテーマで宮崎大学 医学部教授 武谷立 先生を迎え第2回SS公開講義が開催されました。松尾校長より、まず宮崎県より遠路はるばるお越しいただいた武谷先生への感謝の言葉と略歴の紹介がありました。
 最初に大阪市から宮崎まで交通機関を使うとどれくらい時間を要するのか、という今年のセンター試験の地理で出題された問題を使って関西から宮崎への交通の便の悪さが解消されないという話で笑いが起こり、和やかな雰囲気に包まれました。次に宮崎大学医学部教育プログラムについて紹介があり、国際的にも活躍できる優れた医師及び医学研究者の育成を目指しており、卒業後の進路についても紹介がありました。
 本題では、武谷先生の専門分野である薬理学、薬の効能や遺伝子の細胞間情報伝達などについてのお話がありました。薬の効能には効能を強化するものとブロックするもの、の2パターンがあり、作用させる時とあえて作用させないというのが基本的な薬の服用での効果となり、分量により治療域というものがあり、濃度が薄すぎると非有効域、濃すぎると中毒域となり有害作用が出てしまうので治療域が狭いほど使い方が難しいということを学びました。
 次に中毒の話へと移行し、『中毒』という言葉は『毒に中(あた)る』という言葉であるということで使われており、私たちが普段摂取するカフェインについても程よく取れば覚醒作用(集中力向上・運動能力向上)などの良い効果が得られるが、過剰に摂取すると死に至る事もあり、特にエナジードリンクはカフェインが大量に含まれており、1時間に3本飲めば中毒になるので、注意してほしいと警鐘を鳴らされました。遺伝子研究についてはノックアウトマウス(特定の遺伝子を不活性化して正常なマウスとの差を比べる)の話があり、遺伝子の役目を調べる方法や細胞の心筋繊維(アクチン繊維)についてのお話もありました。
 最後に質疑応答があり、講義は終了となりました。お越しいただいた武谷先生、ならびに受講いただいた保護者の皆様ありがとうございました。

第1回SS公開講座を開催しました

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 10月27日、第1回SS公開講座「乳幼児の心理学 -ヒトの行動の起源を探る-」を開催しました。講師は、立命館大学総合心理学部教授、矢藤優子先生です。
 今回は、赤ちゃんの心や行動の発達、またそれにかかわる周囲の人や物といった環境要因との関連について研究する乳幼児心理学を専門とされる矢藤先生から、最新の研究内容やその成果について、写真や映像を交えながら解説していただきました。はじめに、立命館大学総合心理学部があるOIC(おおさかいばらきキャンパス)について紹介がありました。公開講座では、生徒だけでなく保護者の方々も受講されるので、大学での学びやキャンパスライフの様子などが伺い知ることができ、親子で進路について話し合うきっかけにもなったのではないでしょうか。
 その後、講座のテーマである乳幼児心理学に話は移りました。生まれたばかりの赤ちゃんは言葉も話せず、自由に歩くこともできず、寝るか泣くかだけの無力な存在のように見えますが、実際はサルの顔を見分けることができたり、lとrの発音を聞き分けたり、大人でもできないようなことができるという研究結果があることを丁寧にご紹介されました。たとえば、大人が舌を出し入れする様子を赤ちゃんに見せると、赤ちゃんも同じように真似る共鳴というしぐさがあるということを動画で紹介されました。
(Neonate imitation https://www.youtube.com/watch?v=k2YdkQ1G5QI
また、矢藤先生のお子様が赤ちゃんだったときの様子が紹介され、研究者としてではなく母としての側面が垣間見え、心温まる瞬間もありました。そして、生徒からの様々な質問に丁寧に答えていただき、公開講座を終えました。参加した生徒から、心理学に様々な分野があり実験内容やその研究成果に驚いた声が聞かれました。また教育現場で働かれている保護者の方からは「実際に保育園で働いていて、今回の公開講座には興味があって、ぜひ受けてみたいと思いました」といった声も聞かれました。

第4回SS出前講義を開催しました

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 9月28日(金)、大教室において、高1、高2の希望者50名を対象に、第4回SS出前講義が開催され、原子物理学の専門家である大阪教育大学 越桐 國雄先生にお越しいただきました。
 今回は「二十世紀の物理学~原子核の発見がもたらしたもの」と題し、古代原子論から二十世紀までの物理学の進展を、特に二十世紀の百年間を中心に『原子核』という視点から紹介しました。それぞれの時代において、"物質を形成しているもの"について大きな業績をあげた研究者と理論について説明されました。紹介された中には、ニュートンやケプラー、レントゲンといった、これまで学んできた物理の法則などに名前が使われている研究者も多く、原子核についてだけなく、これまでの知識を改めて深める良い機会となったのではないでしょうか。
 

第3回SS出前講義を開催しました

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 9月21日(金)、視聴覚室にて、高1生と高2生を対象にした第3回SS出前講義「化学と生物、そして社会の接点」を開講しました。講師は大阪教育大学の片桐昌直先生です。
 まず、先生の自己紹介に始まり、次に今回のテーマである、生化学について生物と化学の合体であることを説明されました。そして、生化学の実例として、今日は「酵素」について取り上げると述べられました。「消化酵素は膵臓でつくられるが、膵臓そのものは消化されない理由」や「薬の体内動態において、飲んだ薬をどのように排出するか」など、生徒にとって身近でわかりやすい例が次々に挙げられ、理解が進んだようです。また、ノーベル賞と酵素の関係について触れ、「酵素の基本を理解するために、高校では幅広く理科の勉強をしてほしい」という思いを述べられました。
 講義の後は、質疑応答の時間が設けられました。「研究を始めるときは、それが気になるから始めるのですか? それとも、役立ちそうだから始めるのですか?」や「特許出願における、管理とは何をするのですか?」など生徒たちは疑問に感じたことを質問し、先生が答えてくださいました。講義の開始前に松尾孝司校長が繰り返し述べられたのが、「本物に出会うこと」の大切さです。一流の研究者の方との出会いは心に刻まれたと思います。

第2回SS出前講義を開催しました

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 7月27日(金)、大教室にて第2回目のSS出前講義を開催しました。大阪教育大学から小西啓之先生をお招きし、「地球環境を観測する窓・南極観測―日本の南極観測隊に参加して―」と題した講義を行っていただきました。
 小西先生は約30年前とつい最近の2017年、合計2回、南極の地を訪れた経歴の持ち主です。都会で生まれ育ち、自然への憧れとともに南極への関心が高まり、北海道の大学に進学。向こうでは何人もの南極に行った人物に出会い刺激を受けたそうです。最初はそのような自己紹介から始まり、そのまま本題の南極観測の話に入りました。
 世界各国が注目した南極探検の歴史や、二酸化炭素の量やオゾンホールの計測など現地で行われてきた調査について説明した後、次は写真と映像で現地のリアルな様子を紹介してくださいました。厚い氷を砕氷しながら進む船、基地に到着した瞬間、ペンギンやオーロラ、ブリザードなど、珍しく、面白い風景に、生徒たちは見入りました。そして、先生が持参された南極の氷が各席に回され、生徒たちは間近で観察しました。最期は質疑応答の時間が設けられ、「南極の生活で困ることは?」「向こうではどんな娯楽を楽しみましたか?」など、現地に降り立った方だからこそ、聞きたい質問が飛び交いました。
 「自らの南極体験を写真や映像で説明していただいて、とてもわかりやすかったです」「氷に触れたのと、映像を見たことが面白かったです。氷の中に空気の細かい粒がたくさんあったのが、印象に残りました」と生徒たちの感想です。この日の参加者は、高1生が49名と高2生が16名でした。台風上陸前とはいえ、相変わらずの猛暑で汗ばむ日でしたが、楽しい南極の話や映像で涼しい気分を味わえたと思います。

第1回SS出前講義「コケ植物の世界」を行いました

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 6月12日(火)、生物教室にて「第1回SS出前講義」を開催しました。大阪教育大学の畦浩二教授に「コケ植物の世界」と題するテーマで講義と実習の指導を行っていただきました。
参加したのは、希望者の高1生と高2生で、合わせて34名です。
 まず、初めに生徒たちはコケについての理解度を確認する簡単なテストを受けました。その後、日本は小さな国でありながら、コケの種類が豊富で、昔から研究が盛んだったという話に始まり、コケの分類や、「配偶体」「胞子体」といった専門用語、コケの体の構造、人との関わりなどの解説へと進みました。普段、あまり知る機会のない深い知識です。生徒たちは熱心に耳を傾け、プリントに書き留めていました。そして、講義が終わった後は、ゼニゴケの胞子と無性芽を顕微鏡で観察する実習です。顕微鏡に対象物をセットした生徒たちは「ピントが合った」「すごく見える!」「こんな小さな胞子が大きなコケに育つのがスゴイ」「胞子は均一な形だと思っていましたが、塊であったり、バラバラであったり、形が違っているのが意外でした」「顕微鏡を使用することはあっても、植物を観察することはなかったので、面白い実習でした」と様々な感想を述べました。
 身近ながら不思議なコケの世界にさらなる探究心が育まれたのではないでしょうか。

第6回 SS出前講義「星の寿命と一生について」を開催しました

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 1月27日(土)、大阪教育大学柏原キャンパスにて、本校の高校1年生40名がSS出前講義を受講しました。講師は大阪教育大学天文学研究室の松本桂先生です。
 この日のテーマは、星の誕生から死までを取り上げた「星の寿命と一生について」でした。 
 まず前半では、先生が星には寿命があることを説明。星の燃料は有限であり、それが枯渇した時点で光を放つことができなくなると話されました。寿命の計算式なども教わり、生徒たちは興味深い表情で耳を傾けていました。そして、後半は星の一生についての説明です。星間ガスの中から生まれた星が、どのような過程を経て最後の死に至るのか、詳しく知ることができました。
 古典の「明月記(藤原定家)」にすでに客星の記録が見られる話なども登場し、歴史豊かな奈良の地で学ぶ本校の生徒にとって身近に感じられたと思います。休憩時間中も先生に積極的に質問する生徒たちがいました。「難しい部分もありましたが、スライドなども活用していただいたので、理解しやすかったです」と男子生徒。「先生の説明が簡潔でスッと頭に入りました。時間があっという間に過ぎましたね」と女子生徒。好奇心や知識欲が満たされたようです。
 講義が終わった後は、食事休憩を挟んで、実習の天体観測がスタート。屋上に登った生徒たちは、本格的な望遠鏡で月や冬の星座を観測しました。

第5回 SS出前講義 「人類の到達限界について」を開催しました

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 12月14日、JAXA(宇宙航空開発研究機構)第一宇宙技術部門H3プロジェクトチーム主任研究開発員としてロケットエンジンを開発研究されている砂川英生先生をお迎えし、第5回目となるSS出前講義「人類の到達限界について」を開催しました。冒頭に松尾校長から「先生のお話を聞いて、皆さんには『こんな世界があるのか!』をぜひ感じてほしい」というお話と共に、砂川先生が本校の16期卒業生であることが紹介され、受講する生徒の目はより一層輝いたようでした。
 まず、宇宙に行くためにはどうすればいいかということについて、お話をしていただきました。100km以上の高いところに昇れば確かに宇宙に到達するが、地球には重力があって、留まることができずすぐに落ちてしまいます。宇宙に留まるには速度が必要。しかも秒速7.9km(時速28,000km)という、とてつもない速度を出さなければ地球の軌道に留まることができない。それを可能にしたのが、先生が研究開発されているロケットであるということです。続いてロケットの仕組みについて、お話をしていただきました。ロケットの総重量の8割から9割が燃料の重さだということ、ロケットの仕組み、各国のロケット開発に対する取り組みなど、ロケットと宇宙開発の歴史について、生徒にもわかりやすくお話をしていただきました。また、火星に三人の人間を運ぶための推進力を得るには、どれだけ膨大なエネルギーが必要なのかを例に、SFに登場する核融合や反物質の利用、軌道上までエレベーターを建設する夢のような話などもしていただきました。
 最後に受講した生徒から、「月面に宇宙望遠鏡を運ぶことはできないか?」という質問があり「望遠鏡の重さにもよるが、数回で運べば不可能ではない」と、また「宇宙人はいると思いますか?」という質問に対しては「まだ地球からの観測では、宇宙のわずかなエリアしか観測できていないので、宇宙人が存在する可能性は高い」などと、質問にも丁寧に答えていただきました。砂川先生ありがとうございました。

第1回SS公開講座「砂浜の環境と生物」を行いました

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 11月25日(土)、第1回SS公開講座を開催しました。農学博士であり、水産大学校教授の須田有輔先生を講師にお迎えして、「砂浜の環境と生物」をテーマに講演していただきました。
 講演では、日ごろ、あまり注目されにくい砂浜の世界についての内容でした。東京湾や三河湾など内湾に広がる「干潟」とは異なり、外海に面した海岸の砂浜海岸の生態系についてはあまり知られておらず、関心も低く、環境を脅かす問題はないと考える人も少なくないと話されました。ところが、実際には、海岸浸食が深刻さを増し、自然の砂浜が消失しつつあり、このまま無関心が続くと、日本から自然の美しい砂浜が無くなるかもしれないと警告されました。
 日本において、砂浜はどこにでもあるものの、長さが数キロ以上の長大な砂浜は、太平洋、日本海、東シナ海、オホーツク海などの外海に面した地方にしかできないとのこと。砂浜の範囲は地形学的な観点からは砂の部分(おおよそ観光客が利用する部分)になるが、生態学的な観点からは、海側の移動限界水域(水深約20~30m)から、陸側の砂丘の陸側境界だという。この範囲に、砂丘の形成や生態系にとって必要な物資が行き来していることが理由だそうです。
 そして、砂浜にも干潟があることや、独自の生き物が生息し砂浜の生態系を構成していること、環境問題などについてお話してくださいました。特に、海岸浸食と寝食対策事業の二次的な影響、漂着ごみなどの問題が深刻だと強調されました。最近言われるようになった海の「貧栄養化」に関して、砂浜の環境悪化も影響しているのではないかと危惧されました。
 最後に、豊かな日本の海洋生物相も、南北に長い国土や寒暖両海流の存在の他、岩礁、サンゴ礁、干潟、砂丘、マングローブといった多様な海岸環境の存在が大きいことは間違いないとされました。そして、「生物が多い環境も少ない環境も共存することで、自然環境の多様性が保たれている」と締めくくられました。
 生徒からの質問にも熱心に答えていただき、ありがとうございました。

第4回SS 出前講義 「炭酸塩鉱物の地球化学」を開催しました

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 11月21日、第4回SS出前講義 「炭酸塩鉱物の地球化学」を開催し、大阪教育大学 堀真子准教授をお迎えしました。
 はじめに、松尾校長より堀先生のご紹介がありました。
 地球化学についての概要の説明ののち、「陸上炭酸塩(鍾乳石や鉱物)」、「生物起源炭酸塩(サンゴ礁や有孔虫)」、近年研究されている「温泉堆積物」と項目を分けて講義が行われました。先生は「地球化学とは地球上で起きる様々な現象に対してどのように変化をしたのかを研究する学問です。地球は不可逆(その状態に変化したら、元の状態に戻らないこと)な変化をしていますので、過去を遡ることで様々な情報を読み解くことができます。」と仰られました。
 先生の専門分野は地学ですが、地層や化石などに見られる縞模様の研究は「縞々(しましま)学」とも呼ばれており、先生が大好きな縞々を求め、中国や日本の各地の断層スポットに行った時の写真をスライドで見せていただきました。様々な鉱物を顕微鏡で見せていただき、私たちにも縞々学の魅力が十分に伝わったかと思います。2017年9月にネイチャー(総合学術雑誌)に共著の論文が掲載されており、澄川教諭より、大学院を出て10年でネイチャーに掲載されるという異例のスピードと研究成果の凄さを生徒の皆さんに伝えました。お忙しい中、貴重なお時間をいただき研究成果のご教授頂きました感謝の意を伝え、講義は終了しました。

第3回 SS出前講義 「衛生学・公衆衛生学の視点から考える健康とは」を開催しました

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 11月13日、大阪教育大学 永井由美子先生をお迎えし、第3回目となるSS出前講義「衛生学・公衆衛生学の視点から考える健康とは」を開催しました。
 まず、先生の専門分野である、衛生学と公衆衛生学の基礎知識について学んだ後、身近な「健康」についての話にシフトしました。
 「世界では、1986年にWHO(世界保健機関)によって、健康づくりについての憲章「健康づくりのためのオタワ憲章」が作成されましたが、日本でも「健康日本21」という健康に対しての目標値を設けて取り組みを行っています。また、子どもの健康について近年問題になっているのが化学物質の問題です。メガネや机などの身近なものに使われている化学物質が健康に影響を与えているのではないかともいわれており、エコチル調査という子どもを対象にした調査もしております。」
 その後、流行語にもノミネートされた「人生100年時代」という寿命についての話になり、現在100歳以上の方が日本で6万7千人もいらっしゃるという事実に驚きの声が上がりました。寿命が延びる一方、健康寿命との差が男性で6~7年、女性で11~12年と70歳を越えると行動を制限される時期が長く、この差を縮めていくことがこれからの課題となっているとのお話でした。
 身近なのに馴染みの薄い衛生学の世界に触れ、当たり前に恵まれた環境で生活出来ているということを感じた生徒も多かったのではないでしょうか。大学に入れば1回生、2回生の時に勉強しますので、再びお会いできることを楽しみにしています、との先生のお言葉で第3回出前講義は終了しました。

第2回 SS 出前講義 『イオンと分子をつなぐ結合』が開催されました

  • 第2回 SS 出前講義 『イオンと分子をつなぐ結合』が開催されました
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 9月28日、地学教室にて高1の希望者44名を対象にした第2回SS出前講義が開催され、大阪教育大学 久保埜 公二先生にお越しいただきました。
 イオンと分子についての違いから始まり、化合物における原子と原子のつながり『化学結合』について、様々な種類の結合方法にスポットを当てて説明いただきました。組み合わせによって、抗がん剤や胃腸薬にもなる化学結合の奥の深さを感じたのではないでしょうか。先んじて大学で学ぶ内容にも少し触れつつ知識を深める機会となりました。
 また塩化コバルトを使って紙に絵を書いたものをあぶると青色に文字が浮き出たり、ホットプレートで容器を温めると色が変わる実験もあり、興味の持ちやすい講義内容でした。久保埜先生の研究内容は、国から予算をいただいての環境保全や薬の開発などにも関わる研究です。小さな一歩が人類の未来を変える可能性もあるので、社会的にも意義のある研究であると生徒達も感じたのではないでしょうか。

第1回 SS出前講義 「生命活動の担い手『酵素』」が開催されました

  • 第1回 SS出前講義 「生命活動の担い手『酵素』」が開催されました
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 9月14日、地学教室にて高1~高2の希望者を対象にした第1回SS出前講義が開催され、大阪教育大学 川村三志夫先生にお越しいただきました。
 最初に松尾校長より「出前講義で科学に対する関心を深めて欲しい」と挨拶がありました。川村先生からはタンパク質の中に多く含まれている『酵素』について、基礎的な酵母と酵素の違いから始まり、化学触媒との比較や酵素の化学式、酵素反応の特徴、川村先生ご自身の研究成果など様々な観点からお話しいただきました。専門用語もかなり多く、現状の知識の範疇外の内容もあったかと思いますが、質問コーナーでは自分達の知識と照らし合わせて、疑問に思ったことに積極的に手を挙げていました。
 研究とは多角的に考察することの積み重ねが必要である、ということが大人の世界に触れて少しわかったのではないでしょうか。

SS出前講義「恒星や惑星に関する講義」(大阪教育大)

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1月28日(土)。星が見え始める夕刻より大阪教育大学柏原キャンパスに本校高校1年生13名が訪問し、天文学の講義受講と学内見学を行いました。

前半は大阪教育大学准教授の松本桂先生から、恒星が輝く仕組み、そして太陽の質量や寿命について、ご講義をいただきました。
それに関連してオリオン大星雲やプレアデス星団、ベテルギウスなどについてお話いただき、日頃、夜空で見ている星々に、想像を超えた物語があることに、参加した生徒たちは目を輝かせていました。
また、生徒からは「恒星の寿命は計算できるが、惑星の寿命は計算できないのでしょうか?」など、専門的で突っ込んだ内容の質問がありました。松本准教授は「とてもユニークな質問ですね。惑星は、その構造によって異なるため測定が難しいです」と応えていただくなど、素朴な生徒の質問にわかりやすく対応していただきました。

その後、生徒たちは大教大の学生食堂で食事をしました。同じ学食の空間の中でクラブ活動後の大学生なども食事をしている様子を見て、生徒たちは、ちょっとしたキャンパスライフを味わいました。
また本校とは違うメニューや、おかずの量り売りなどがあり、生徒たちは迷いながら食事を注文していました。

さて、すっかり外が暗くなってからは2班に別れ、C棟の屋上に設置された天体ドームや天体望遠鏡などで星を観察しました。この日は、昨日までの厳しい寒さも若干おさまり、絶好の天体観察日よりでした。
松本准教授に加え、研究室の大学院生4名、在学中の学生1名がアシスタントとして、生徒たちに星座の説明などをわかりやすくしてくださいました。
まずは夜空を見上げて肉眼で、オリオン座やカシオペア座等を観測しました。今まで何とはなく見上げていた夜空の星たちも「講座を受けた後の今はまるで違って見える」という生徒の声もありました。
天体ドームでシリウスを観測しているとき、松本準教授が「シリウスはとても明るいので、望遠鏡の覗く部分の前に手を置くと明るく見える」と教えていただきました。生徒たちは、実際に手を置いてみて、自分の手の中にシリウスの光が映っていることに感動していました。

第6回SS出前講義「液体力学とエネルギー変換・輸送」を開催しました。

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12月15日(水)、大教室に本校の第28期生でもある同志社大学の山崎晴彦先生を講師にお迎えして、第6回「SS出前講義」を行いました。

今回のテーマは、「色と光と有機化学液体力学とエネルギー変換・輸送」でした。山崎先生は、なぜ自分が研究者の道に進んだのか、また流体力学とは、どのような学問であり、どういうふうに社会に役立っているのかなどについて、ご自身のプロフィールや研究成果を通して、生徒に分かりやすくお話ししてくださいました。

講義では、まず、自分の奈良学園時代を振り返って、野球に一生懸命に取り組んでいたため、あまり勉強には力が注げなかったこと。しかし、学問の道に進むには、勉強だけでなく、何かに集中して取り組めるという姿勢が大切であり、学生時代に主将として野球に必死に取り組んだことが、結局、研究者への道を切り開いたことなどを話してくださいました。

続いて山崎先生は、「流体力学は化学を学ぶ学生であっても、触れることがない人もいるような学問です。しかし、実際には私たちの非常に身近なところで、生活に深く関わっています」と、水力発電や火力発電をはじめ、自動車や洗濯機、掃除機などを具体的な例として挙げられました。

さらに、私たちにとって最も身近なエネルギーである電気を生み出している石油や石炭を燃やす火力発電や高低差を利用して水を流す水力発電などは、何十年も前から変わらずに大きなタービン(羽)を回すことで作り出されていること。そして、利用される液体や気体の流れを理解するために用いられているのが流体力学であることなどを解説。また、サスティナブル(継続的)な社会を実現させるためにCO2(二酸化炭素)を削減するのではなく、役立つものとして利用できないか研究に取り組んでいることなどを説明されました。

講義を受けた高校1年生の生徒たちは、授業だけでは、なかなか触れることが無い専門的な化学の話にどんどんと引き込まれたようで、熱心に聴講し、感銘を受けている様子でした。

最後に、「流体力学は車のどこに利用されているのか?」などといういくつかの質問が投げかけられ、「サスペンションという車の揺れを抑える部品に使われています」などと答えられ、出前講座を締めくくられました。

第5回SS出前講義「遺伝子・ゲノムをみる」を開催しました。

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 本校のサイエンス館視聴覚教室において、11月18日(金)、講師に分子細胞遺伝子の研究を専門とされている大阪教育大学の向井康比己先生をお迎えし、第5回SS出前講義を行いました。

 今回のテーマは、「遺伝子・ゲノムをみる」でした。向井先生はスライドを使って、なぜ自分が化学に興味を持つようになったのか、そして化学の何が面白いのかなどについて、ご自身の生い立ちや感銘を受けた本や人物を通して、生徒に分かりやすくお話ししてくださいました。

 講義では、最初に、一番の愛読書でミクロの世界に興味を抱くきっかけになった本として、植物学者の牧野富太郎博士の『日本植物図鑑』を紹介されました。また、シュレーディンガーなどが著した『生命とは何か』に感銘を受けたことにも触れられました。そして、植物などの斑入り染色体の観察で、遺伝子が染色体の中を動くという発見をし、83歳の時にノーベル生理学・医学賞を受賞したバーバラ・マクリントックによる染色体の研究も大いに感化された研究内容の一つとして挙げられました。
さらに、ノーベル賞は生きているうちしかもらえない賞なので、長生きすることと、人とはちょっと違うことでもコツコツと努力をすることが大事だとアドバイスされました。

 続いて、遺伝子学の中での最重要アイテムは「顕微鏡」であること。その顕微鏡を発明したのはヤンセン親子であり、初めて顕微鏡を使ってミクロの世界に足を踏み入れた人物は、「フックの法則」を発見したロバート・フックであることを紹介されました。
 一方、日本における植物生理学で欠かせない人物として木原均博士を挙げられました。木原博士は、「生物をその生物たらしめるのに必須な最小限の染色体のセット」というゲノムの定義や「地球の歴史は地層に、生物の歴史は染色体に記されてある」という名言を残していることなどを話されました。
その他、専門分野であるゲノムの概念や識別方法、顕微鏡での観察方法などの専門的な話もされました。

 出席していた生徒たちは、奥深い化学の世界に魅了されたのか、お話に熱心に耳を傾け、大いに感銘を受けている様子でした。

 最後の質問コーナーでは、「近縁種とそうでないものとの区別はどのようにしているのですか?」という質問に対して、DNAの合致パーセントが近いものが近縁種になることなどを回答され、講義を締めくくられました。

第4回SS出前講義「色と光と有機化学」を開催しました。

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9月29日(木)に本校のサイエンス館視聴覚教室で、大阪教育大学の種田将嗣先生を講師にお迎えし、第4回「SS出前講義」を行いました。

今回のテーマは、「色と光と有機化学」でした。種田先生は、なぜ化学を学ぶのか、化学を学ぶことでどのようなことに役立つかなどを、ご自身の研究成果を通して、生徒に分かりやすくお話ししてくださいました。

講義では、はじめに、人が色を認知できる可視光と不可視光の存在について、色ペンと蛍光ペンでそれぞれ描いた絵に、白色光を当てた場合と赤・青・黄色光を当てた場合の見え方の違いを確認しました。そして、光は電磁波(波動)であり、その波長の長さにより見える色やエネルギーが異なること。産業分野においてはこの理論をベースに、有機化学で得た知識と様々な専門家との協力により、新たな付加価値のある商品を生み出せるという面白さを話していただきました。
また、種田先生は「学校の授業で無駄な学びはない」ということを度々強調されました。例えば、原子と分子の構造、光とエネルギーとの関わり、単結合と二重結合の違い、二重結合の共役など、一見何の役に立つのかと疑問に思う学びでも、光の三原則と色の三原則、および人間が色を認識するメカニズムとの関係から、色を作り出すことにつながるという興味深い内容でした。身近なところで、プリンターのインク、テレビや携帯電話などのディスプレイの開発、洗剤、有機ELなどが例として挙げられました。

生徒たちは、奥深い化学の世界にどんどんと引き込まれていくようで、熱心に聴講し、感銘を受けている様子でした。

最後に、「なぜリンゴは赤いの?」という疑問に、講義で学んだ有機化学の側面から答える人がいる一方、化学、植物学、物理学、経済学、栄養学、文学といった様々な視点から考える人がいることを紹介し、多様性の重要さを説いて締めくくられました。

第1回SS公開講座を開催しました

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10月1日、「おいしい毒魚フグのあれこれ」をテーマに、水産大学校校長の酒井治己水産学博士を講師にお迎えして、第1回SS公開講座を開催しました。

はじめに、酒井先生は水産大学校のある山口県下関市には、日本全国で水揚げされるフグ類が集まるフグ専門の市場があることを紹介されました。そして、フグの種類、特徴、系統、毒、そして食の歴史とフグがおいしい理由など、フグについて興味深い話を詳しくしてくださいました。

フグ類はフグ目のメンバーで、世界で10科約430種知られ、なかにはフグにはみえないようなマンボウが、仲間に入るとのこと。硬骨魚類に属し、その中のフグ科には19属187種が知られ、体内に毒を蓄えていること。そして、日本で食べられているトラフグ属は、東アジアを中心に約25種いて無毒なものはなく、日本では10種ほどを食用にしていると話されました。そして、この毒を持つフグを、日本人は縄文時代から食べていたという面白い話が続きました。

このフグの毒は主にテトロドトキシンTTXで、このTTXの影響により、フグ毒に当たった場合には身体中がしびれ、心臓が止まるのではなく呼吸ができなくなって死にいたるとのことでした。そのため、フグ毒に当たったら、毒を体内から排出されるまで人工呼吸を続けることが肝心だと話されました。

また、フグを食するのは日本だけではなく、東南アジアでも食べられているそうですが、亡くなる方が多いという話もされました。フグを調理するためには、日本では「フグ調理師」の免許が必要です。その理由は、フグが毒を持っているからであり、フグには種類によって毒が含まれている部分が異なることと、さらには、食べられるフグのシロサバフグと全身猛毒の食べられないドクサバフグの姿形が似ているため、見分ける力も必要になるためです。
さらに、フグには雑種があり、最近では雑種が増えているという興味深い話も。

近年、捕り過ぎや開発などにより減少していることも話されました。そして、生徒からの様々な質問に丁寧に答えていただき、公開講座を終えました。

第3回SS出前講義「運動と学業成績との関連」を開催

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7月29日(金)の午後、大阪教育大学から宍戸隆之先生をお招きして、第3回SS出前講義「運動と学業成績との関連」を実施しました。高1、高2生徒の希望者75名が受講しました。

ご講義では、まず初めに、大学院での研究に至る先生のご経歴、さらには、在外研究時の体験談や日本と異なるアメリカの研究室事情など、興味深いお話を、写真を交えて紹介してくださいました。

引き続き本題に入り、学習は神経細胞の働きを強化することで行われると指摘され、学習を支える意味記憶、エピソード記憶、手順記憶などについて、その記憶強化のメカニズムを解説されました。忘れることは当たり前のことであり、反芻行為などにより一時記憶の長期記憶化が図られていると述べられ、学習において同じことを繰り返すことの重要性を強調されました。また、有酸素運動後に脳の認知機能が高まることを紹介され、さらに、光の刺激と睡眠や体内時計との関係、運動後すぐの食事の重要性について述べられて、「運動―食事―学習―睡眠」という理想的な生活習慣のあり方を提示してくださいました。

お話の内容が生徒たちの日々の生活に直接結びついたものであり、興味深いご講義でした。先生のお子様の高校生活を実例として紹介いただき、生徒たちは大いに触発され、自らの生活を見直す好機となりました。

第2回SS出前講義「歯科医師と企業での就職」を開催

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6月22日の放課後、第2回「SS出前講義」が視聴覚室にて実施され、高校1年生、高校2年生、合計35名が受講しました。今回は日本歯科大学の中野智子先生に「歯科医師と企業での就職」をテーマにご講演をいただきました。講義を始めるにあたって松尾孝司校長から「今日の講義が、みなさん一人一人の将来像を踏まえ、進路を決めるためのヒントにしてほしい」という話がありました。

講義の冒頭で中野先生から「高校2年生の人も高校1年生の人も、まだ進路を決めるには時間があると思っていませんか。特に、1年生だと、あと1年以上もあると。でも、将来をしっかりと決めるのは今なのですよ。
受験前になって、将来にどうなりたいのか、何を身につけたいのかも考えず、ただ大学に入ることだけを目指してしまう。そうなると結局大学で自分の将来につながるものを得ることができず、社会人になってから『こんなはずじゃなかった』と思ったりするのですね」と、今のうちにはっきりと目標を明確に持つことの大切さをお話しされました。

後半の講義は、先生が生徒の質問にお答えいただく形で進行しました。高校の勉強では保健と家庭の授業が大切であること。食事に関しては、ビタミンD摂取の必要性や、だ液の種類(耳下腺・顎下腺・舌下腺)と効能、
咀嚼(そしゃく)の必要性など、専門性に富んだ内容をかみ砕いてお話しいただきました。生徒達は、日常生活の中に様々な科学的裏付けがあることを知り、講義の終了時に感謝の拍手を先生に送りました。

第1回SS出前講義「光と半導体」を開催

  • 第1回SS出前講義「光と半導体」を開催
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6月14日(火)、大阪教育大学教養学科自然研究講座の中田博保先生を講師にお迎えし、高校生の希望者31名を対象に第1回SS出前講義「光と半導体」を開催しました。
講義では、スマホやパソコンなど私たちの周囲のさまざまなところで利用され、もはや日常生活に欠かせないものとなっている半導体と、その働きに不可欠な光について、解説してくださいました。

講義は、光の持つ性質から始まりました。
「光の反射」は入射角と反射角が同じで、水やガラスなどを通過する時には「光の屈折」が起こることなどを分かりやすく話してくださいました。
そして、そうした現象が起こるのは「光はなるべく早く目的地に着こうとする」からだと説明。『せっかちな人が、最短なルートを選ぶのと同じです』と身近な例で解説されました。また、「真空というものは、何もない状態ではなく、それについて研究している人もいます」と、光だけに留まらないエピソードも披露されました。

さらに、光は「屈折」する性質があることや、真空中では秒速30万kmの速度であること。
また、光が水やガラスなどの中から出られなくなる「全反射」と呼ばれる現象が起こり、多くのデーターを送るために使用される光ファイバーは、その性質を利用している、といったことを紹介されました。その際、実際の光ファイバーを使い、片方の端からレーザーポインターの緑色の光を送ると、ファイバー自体は光らず、もう片方の端からだけ緑の光が漏れる実験なども見せてくださいました。

また中田先生は、「大学に入る時に理学部を選んで研究の道に入りましたが、研究者になって、何度も難しい壁に当たりました。しかし、自分の苦手なことも頑張って学んで、全てを知った時に、その壁を乗り越えられました。受験も同じで、これから大変なことがあるでしょうが、何があっても必ず乗り越えられます」と自分の実体験を例に出して、これから受験勉強に立ち向かう生徒の心構えについても語ってくださいました。

光の話に重点が置かれたため、半導体に関しては詳しいお話をうかがえませんでしたが、それでも生徒は、半導体の持つ大きな可能性について関心を持ったようでした。

最後に、生徒から「真空の話は不思議に思いました」などの熱心な質問を受け、「真空は、仏教にある『色即是空、空即是色』という考え方に似ているように思います。実は真空の中に、本当はいろいろなものがあって、物質の中に何もないのかもしれません」と、単に物理の範疇に留まらない解釈も披露してくださいました。

「電気で実現!豊かな省エネ社会」(SS出前講座)

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12月15日(火)、本校の卒業生で、大阪大学大学院工学研究科の井渕貴章先生を講師にお迎えして、高校1年生対象の第5回SS出前講義「電気で実現!豊かな省エネ社会」を開催しました。

講義では、日常のあらゆるところで使用され必要不可欠である電気について、そのエネルギーの発生・変換・利用における電気の役割についての内容が繰り広げられました。

身近な事例から、車に関してハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、F1のエネルギー回生、鉄道車両に関する運動エネルギーの高効率利用、航空機に関するFly by wire。また、ロボット、エアコン、白熱電球、蛍光灯、LED、高周波誘導加熱、太陽光発電、風力発電、太陽電池、リチウムイオン二次電池、燃料電池、さらに、大阪に建つ「あべのハルカス」の最先端設備などから、エネルギーの変換について分かりやすく話してくださいました。

特に、電気の形(交流、直流、大きさ、周波数)を変換・調達する装置について、パワーエレクトロニクスによる省エネルギー高効率電力変換の必要性や役割を語られ、地球環境やエネルギー資源問題の解決、未来の豊かな社会づくりに電気がどのように貢献できるのか、といった内容が紹介されました。

そして、井渕先生は本校の先輩として生徒に、「皆さんは多分、目の前にある大学受験をクリアすることが目標だと思うし大事なことだけれど、今はその基礎を磨く時期です。いろいろなことに興味を持って、幅広く多くの知識を得て、深く考えようとする姿勢が重要です。大学入試は次の出発点に過ぎません。全力で取り組む経験をしてください」とエールを送ってくださいました。

最後に、生徒から「北欧のようにインフラが整っている水素エネルギーに興味があるが、なぜ日本では利用が進まないのか」「LEDに関して、青色発光ダイオードの研究がなぜ難しいのか」といった熱心な質問に丁寧に答えていただきました。

「絶滅危惧植物を育む里草地」SS出前講義

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11月20日(金)、大阪教育大学から岡崎純子先生をお招きして、第4回SS出前講義「絶滅危惧植物を育む里草地 大阪で再発見された植物 アイナエ(マチン科)」を実施しました。

スライドを使って約60分間、大阪で再発見されたマチン科のアイナエという植物について、里草地の大切さを中心に語られました。
「大阪の自然、里山の環境はどうなっているのか」、「近畿圏での山草地、カヤ草地、里草地の環境はどうなっているのか」などについて、絶滅のおそれのある野生生物情報を記載したレッドデータブックと先生の研究から、分かりやすく説明されました。

質疑応答の時間では生徒たちから積極的な質問が多数寄せられました。
「この学校の周りには貴重な植物がたくさん残っているそうです。学校にいる限られた期間の中でどのように研究をしていけばいいのでしょうか」という質問もありました。

岡崎先生は「関西のいわゆる絶滅品種は意外と研究されています。ですから身近にあるものを、例えばこれはいつ頃に咲いて、どれくらいの期間咲いていられるのか、など小さなところからデータを採取して蓄積していくのがよいと思います」と答えられました。

最後に本校教員が「植物の研究がどういうものか、詳しくそして易しく解説してくださいました。それらを通して、動物であれ、植物であれ、物を見るための目の付け所を教えてくださったと思います。」とまとめの挨拶をしました。

SS公開講座「The Science of Music」を開催

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11月14日(土)の午後、作編曲家・ピアニスト・口笛奏者の上柴はじめ先生とファミリーソングシンガー・手あそび歌の山野さと子先生をお迎えして、第2回SS公開講座「The Science of Music-人はなぜ音楽に感動するのか-」を開催しました。

講座は、まず、上柴先生の演奏で本校の校歌を山野先生が独唱されることで始まりました。そして、聞きなれた校歌を短調に変換したり、ボサノバ風にしたりして歌いなおし、同じ音でも『ハーモニー=和音』を変えることで全く印象が異なるようになることを紹介。

その他にも時報など他の曲も同様に変化させて、音楽の多様性をもたらしているのが和音であることを証明して下さいました。
その上で、上柴先生は、音楽の文法やリズム(拍子)、そしてメロディーや詞などによって、多種多様な音楽が生み出されていることを語られました。

生徒は、同じメロディーであっても、さまざまなアレンジによって全く異なる印象の曲になることを目の当たりにして、音楽の多様性、そして科学性について理解できたと思います。
その後、山野先生が美しい歌声でディズニーの名曲を数曲歌い、歌の持つ素晴らしい魅力に触れることができました。

さらに、第二部では、山野先生のもう1つの特技である「手遊び」のコーナーが行われ、みんなが参加して脳の動きなどについても体験しました。

最後には、男子と女子、保護者と先生、そして山野先生が同じメロディーで、それぞれ別の歌詞で即興の振付で歌うミニミニ・ミュージカルが行われ、全員が一つとなって大盛り上がりする中、楽しい講座は終了しました。

「沿岸浅海域の環境と生物多様性 」講座(佐野 東大教授)

  • 「沿岸浅海域の環境と生物多様性  」講座(佐野 東大教授)
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10月31日(土)の午後、SS公開講座に東京大学大学院農学生命科学研究科 教授の佐野 光彦 先生をお迎えして、「沿岸浅海域の環境と生物多様性 -今,世界中のサンゴ礁が危ない- 」というテーマでご講演をいただきました。

「東京大学の先生にお越し頂き、お話を伺うということは、みんなが東大の学生になって、大学で講義を受けていることと同じなんですよ。」という校長先生の開講のあいさつからご講義が始まりました。
 
佐野先生は、学生時代から沖縄の魚類と格闘してきたとは思えない優しい語り口で、真核生物の絶滅状況データから、現代が生物にとって危機的状況にあること、さらに人口が集中する沿岸浅海域の生物への影響がひどいことを説かれました。

水中であるが故にその深刻さを目にすることが少ない私たちですが、沖縄本島や八重山諸島のサンゴを例にとり、地球温暖化や天敵増加の影響で珊瑚礁がひどく壊されている状況を紹介されました。

美しいスライドやていねいな資料のおかげで、生徒たちは知らず知らずのうちにサンゴとサンゴ礁の違いや、新しい生物の命名法、遠い南方の出来事が実は私たちの身近にまで大きな影響を与えていることなどを理解していました。

最後に、絶滅に瀕する生物には「守るべき」「守れる」「守りたい」の3基準から具体的な保護策を講じる必要性を説かれて、あっという間の90分が過ぎました。

その後、生徒たちからの多くの質問がありましたが、丁寧に答えて下さった先生に感謝して、講座は終了となりました。

SS出前講義「光触媒性能を有するチタンアパタイト粒子の調製と応用」

  • SS出前講義「光触媒性能を有するチタンアパタイト粒子の調製と応用」
  • SS出前講義「光触媒性能を有するチタンアパタイト粒子の調製と応用」

10月2日(金)の午後、大阪教育大学から神鳥和彦先生をお招きして、第3回SS出前講義「光触媒性能を有するチタンアパタイト粒子の調製と応用」を実施しました。高1、高2生徒の希望者25名が受講しました。

講義の導入では、電磁波と可視光線の関係と、ものが見える仕組みについてお話しいただきました。
そして、可視光線が様々な色の光の束であることを示すプリズム分光実験や、物質の色はその補色の光が吸収され、残りの色が反射することによって認識していることを示す演示実験を拝見しました。

本題に入り、紫外線を受けた光触媒が細菌などの有機物を分解する仕組みについてお話があり、続いて、ほ乳類の生体硬組織(具体的には歯など)の主成分であるカルシウムヒドロキシアパタイトのカリウムイオンをチタンイオンで置換した、「チタンアパタイト」の合成法を紹介いただきました。

さらに、このチタンアパタイトがアパタイト特有の有機物に対する優れた吸着能力と同時に光触媒活性を発揮することを示す実験データを解説いただき、このチタンアパタイトの応用として、血液浄化システムへの利用に関する現在の研究についてもお話をいただきました。

ご講義には、生徒にとって難しい内容も含まれていたようですが、導入部分での演示実験や、光触媒の利用事例などが生徒の関心をひきつけるご講義でした。

「地層に残る流れの情報を読む」(出前講義)

  • 「地層に残る流れの情報を読む」(出前講義)
  • 「地層に残る流れの情報を読む」(出前講義)

7月30日(木)の午後、大阪工業大学から横川美和先生をお招きして、第2回SS出前講義「地層に残る流れの情報を読む」を実施しました。

今回は実習を伴うご講義のため、定員20名で募集し、高1、高2生徒の希望者21名が受講しました。

前半は、地層に見られる堆積構造が、その地層がどのような場所で、どのような流れによって形成されたものかを知るための手がかりになることについて、ご講義いただきました。
流される砂粒の粒径と流速の組み合わせによって、川底や海底にリップルやデューンなどの様々な形状のベッドフォーム(砂の上にできる小さな地形)が形成されること、また、その過程で葉理(ラミナ)や層理といった堆積構造が生じる仕組みについて学習しました。

後半は、透明なアクリル板で作った実験水路を用いて、川底にベッドフォームが形成される様子と、それに伴って生じる堆積構造の観察実習を行っていただきました。

また並行して、ブラジルナッツ効果(振動などにより小さな粒子が下方に沈み、大きな粒子が上方に集まる現象)の実験・観察実習も体験させていただきました。

生徒達は、「実験を通して自然現象を検証する」という、サイエンスの基本的なスタイルを自分の目で確かめることができ、学習への理解がいっそう深まったご講義でした。

「走査型トンネル顕微鏡でみるナノの世界とその応用」講座

  • 「走査型トンネル顕微鏡でみるナノの世界とその応用」講座

本年度、第1回SS出前講義「走査型トンネル顕微鏡(STM)でみるナノの世界とその応用」を開催しました。

6月17日(水)の放課後に、第1回「SS出前講義」を実施しました。大阪教育大学から川越毅先生をお招きして、「走査型トンネル顕微鏡(STM)でみるナノの世界とその応用」というテーマでご講義をいただきました。高1、高2生徒の希望者18名が受講しました。

講義では、まず、走査型トンネル顕微鏡(STM)が、そのメカニズム及び分解能において画期的な顕微鏡であること、また、物理・化学・生物分野における分子・原子レベルでのナノサイエンスの進展に伴い、現代の科学技術に不可欠な装置として瞬く間に評価されたことをお話になりました。

続いて、電圧をかけたセラミック針を試料に近づけ、そこに流れるトンネル電流によって像を得るという、STMの原理を説明されました。
さらに、STMが物質の表面構造を明らかにするだけでなく、その状態や性質をも明らかにし、原子の操作を行うことも可能なことを解説され、遺伝子操作や薬剤開発などの広い分野に可能性を持つことを指摘されました。

また、先生のご専門であるSTMを用いた磁性体の観察についてお話くださり、磁性体の状態密度の観測などを紹介し、STMが基礎科学と応用科学との両分野で重要な役割を果たすことを強調されました。

最後には、高校時代から大学以降の研究生活に至る、先生御自身の体験談をお聞かせいただき、生徒たちにとって科学研究に対する関心とともに親しみの高まる講義となりました。

天体観測実習(大阪教育大)

  • 天体観測実習(大阪教育大)
  • 天体観測実習(大阪教育大)

2月14日(土)、高Ⅰ・Ⅱの生徒20名が大阪教育大学柏原キャンパスへ伺い、松本桂先生に講師をお願いして、天体観測の実習を行いました。

最初に、「冬の星空で探る星の一生」というテーマで、ご講義をいただきました。星(恒星)が核融合反応によって輝くこと、その反応を持続できる期間が星の寿命であることをお教えいただきました。

続けて、太陽を例に、質量をもとに算出される生成可能な総エネルギー量と観測に基づき導かれる時間当たりの放射エネルギー量から、星の寿命が明らかになることを解説いただきました。

さらには、人間には観察不可能な悠久たる星の「一生」を、夜空に見える様々な「年齢」の星を手掛かりに理解するという手法を紹介いただき、暗黒星雲、主系列星・赤色巨星・白色矮星、さらには中性子星やブラックホールなどを取り上げて、星の一生が大きさによって異なる道筋をたどることを解説いただきました。

天体観測では、オリオン大星雲、プレアデス星団、ベテルギウスなどを観測し、星の「誕生」から「死」に至るまでのそれぞれ段階にある天体の様子を観察しました。

天体を科学的に捉える手法を学ぶとともに、日常世界とは遠く隔たった宇宙空間に思いをはせる機会となるご講義・実習でした。

第3回SS公開講座「 ヒトの寄生虫 -寄生虫撲滅の物語と現在行われている調査- 」

  • 第3回SS公開講座「 ヒトの寄生虫 -寄生虫撲滅の物語と現在行われている調査- 」
  • 第3回SS公開講座「 ヒトの寄生虫 -寄生虫撲滅の物語と現在行われている調査- 」

2月7日(土)の午後、国立科学博物館 動物研究部長の倉持 利明 先生(獣医学博士)をお迎えして、第3回SS公開講座「 ヒトの寄生虫 -寄生虫撲滅の物語と現在行われている調査- 」を開催しました。

倉持先生はまず、寄生虫とはどのような生物なのかをていねいに説明されました。そして、寄生虫といっても分類学上様々な種類があり、各々の生物群ごとに過去に何度も寄生生活への進化が生じたことをお話し下さいました。

その上で、人に寄生する寄生虫を撲滅した例として、「日本住血吸虫」という風土病について、その発症の認知から1996年に最後の「流行終息宣言」が出されるまでの壮絶な人と寄生虫との闘いの経緯を語られました。

生徒は、たった1種類の寄生虫を撲滅するだけでもどれほどの人々の努力が必要なのか、そして、衛生的な環境がいかに重要であるかを理解できたと思います。

ただ、この寄生虫を撲滅できたのは世界で唯一、日本だけであり、まだ多くの国でこの奇病に苦しんでいる人々がいることを忘れてはならないことも先生のお言葉として心に残りました。

最後に、先生は世界のグローバル化に伴い生じた新たな寄生虫被害として、南米チリにおけるヒトのサナダムシ(条虫類)被害について語られました。

元々南米には生息していないサケ科魚類が、チリに移入されたことにより生じたサナダムシ被害、つまり、寄生虫も、人への感染を仲立ちする中間宿主もすべて外来種で成立しているというのです。

かつてはあり得なかった南北半球を超えた生物分布の拡大問題と、調査すればするほど新しい謎が出てくる学問の奥深さとを教えていただき、質問にも情熱的に語っていただく先生に感謝して、公開講座は終了となりました。

第2回SS公開講座-講師 河崎善一郎先生(大阪大学名誉教授)-を開催

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  • 第2回SS公開講座-講師 河崎善一郎先生(大阪大学名誉教授)-を開催
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  • 第2回SS公開講座-講師 河崎善一郎先生(大阪大学名誉教授)-を開催

11月22日(土)の午後、本校生および保護者を対象に、第2回「SS公開講座」を大教室で開催しました。今回は、雷博士として有名な大阪大学名誉教授の河崎善一郎先生(大気電気学)をお招きし、「雷を追いかけて」をテーマにご講演いただきました。

初めに河崎先生は、雨冠の漢字を取り上げ、「雷(雷鳴)」と「電(電光)」の成り立ちの違いから、およそ5000年前、漢字が生まれた当時の人もそれらが別のものだと考えていたことを紹介されました。

そして、小学生時代に鉄腕アトムに登場する博士にあこがれていたことや、自転車の発電機でいたずらをし、電気に興味を持ったことなどを、ユーモアを交えながら語られました。名古屋大学空電研究所での研究時代に、世の中にない装置を作って研究をするという考え方と出合い、「何ができるかではなく、何をやりたいかが大事」という思いを持って、雷を追い続けてきたと話されました。

また、大阪大学が開発した「VHF波帯広帯域干渉計」を用いて雷放電を電波で観た時の動きを、映像で見せていただきました。雲内部での放電や、地上と雲とを行き交う雷放電のメカニズムを解説していただき、これまで目で見ていただけでは分からなかった雷現象の面白さに、聴講生らは熱心に見入っていました。

最後に、河崎先生が大気電気学を生涯の専門にすると決意したのが40歳の頃であり、「時間をかけてもいいから、自分のやりたいことを何か探してみてください」と、聴講生にエールを送りました。そして、「誰でもライバルになれるのが学者です。たとえ、今は亡きアインシュタインでも、その研究成果を越えようとすれば自分にとってのライバル。私は奈良学園の皆さんと世代が異なりますが、同じ道に進む人がこの中から出てくれば、私とライバルになりますね」と、学者としての生き方の醍醐味を述べられ、公開講義が終了となりました。

SS出前講義「タワーマンションの広告から学ぶ住まいのしくみ・住まいの情報」を実施

  • SS出前講義「タワーマンションの広告から学ぶ住まいのしくみ・住まいの情報」を実施
  • SS出前講義「タワーマンションの広告から学ぶ住まいのしくみ・住まいの情報」を実施


11月7日(金)の放課後に、第4回「SS出前講義」を開催しました。高1生徒の希望者35名が受講しました。
大阪教育大学から碓田智子先生に、「タワーマンションの広告から学ぶ住まいのしくみ・住まいの情報」というテーマでご講義をいただきました。


講義では、マンション広告に記載された情報の読み解き方や、超高層マンションに関する今後の研究課題などについてお話しくださいました。
まずは、マンション広告のチラシに見られるPRポイント(住宅設備の性能や耐震性、セキュリティーへの配慮、さらには眺望や共用施設の充実など)と、それらを読み解く際の留意点を紹介され、続けて、高さによるマンションの分類や、「マンション/アパート」という用語の原義と一般的な使用法などについて触れられました。

また、広告の「建築概要(物件概要)」の欄に記される、立地や費用などの重要な情報についての解説もいただきました。

最後には、高層かつ高密度の住環境がもたらす問題や災害時の対応など、建て始められてまだ日の浅い超高層マンションについての研究課題を指摘されました。

講義の途中には、マンションの広告チラシの間取り図から馴染みの薄い用語を抜き出したり、三角スケールを使って間取りを作図したりと、生徒の実習教材もご用意いただき、皆、熱心に取り組んでいました。

工学系の建築学や、生活科学系の住居学、さらには芸術学部における建築学など、それぞれが持つ特色についてのお話もあり、建築に対する様々なアプローチの可能性に気づかされた講義でした。

白川英樹先生(ノーベル賞受賞)の講演会を開催

  • 白川英樹先生(ノーベル賞受賞)の講演会を開催
  • 白川英樹先生(ノーベル賞受賞)の講演会を開催
  • 白川英樹先生(ノーベル賞受賞)の講演会を開催
  • 白川英樹先生(ノーベル賞受賞)の講演会を開催

10月4日(土)に、中1~高2の生徒全員と本校保護者65名を対象に、第1回SS公開講座を第1体育館で開催しました。

今回は2000年にノーベル化学賞を受賞された白川英樹先生をお招きし、「私の歩んだ道 ―電気を通すプラスチックの発見 セレンディピティを知っていますか―」をテーマにご講演いただきました。
白川先生は2008年にお越しいただいてから2度目のご来校です。

講演ではまず、少年時代からどのようなことに興味、関心を持って人生を歩んでこられたのかを語られました。
自然の中で育った幼少時代、昆虫や植物採集に夢中になって図鑑を見ながら実物を探し回ったことや、ごはんやお風呂を炊く手伝いをしながら炎色反応の実験を楽しんでいたこと。
高校生の頃に無線の面白さにひかれ、ラジオの組み立てなどを行っていたことなど、自然から得た学びやあらゆる物事に興味を持ち取り組んだ経験が、その後の研究に生かされていると話されました。

さらに、白川先生がノーベル化学賞を受賞された「導電性高分子の発見と発展」は、偶然や失敗から生まれた"セレンディピティ"であり、触媒濃度を間違えた結果生まれた薄膜状のポリアセチレンを単に失敗だとするのではなく、その偶然について思索を深めたことが新しい発見につながったと強調されました。

そして、「偶然のチャンスを掴み取るためには、日常的な研究努力をして待ち構える姿勢が大切です」と強調されました。

最後に、生徒からの質問も快く受けてくださり、ノーベル賞のメダルを授与された時の感想や、研究職を辞された現在でも日本科学未来館や学校などで実験教室を通して子どもたちに科学の面白さを伝えていることなどをお話しいただきました。

生徒を代表し、生徒会長の天野そよかさんが「ふとした偶然から大切な事を掴み取る能力を、私も身につけられるように努力し、今後の人生に生かしていきたい」と謝辞を述べ、今回のSS公開講座を終了しました。

第3回SS出前講義「タマネギを中心とする食品の機能性」を開催

  • 第3回SS出前講義「タマネギを中心とする食品の機能性」を開催
  • 第3回SS出前講義「タマネギを中心とする食品の機能性」を開催

9月17日(水)に、第3回「SS出前講義」を開催しました。大阪教育大学から井奥加奈教授をお招きして、「タマネギを中心とする食品の機能性」というテーマでご講義をいただきました。

受講生徒は高2と高1の希望者で、26名の生徒が熱心に受講しました。

講義では、食品の成分には栄養素としての側面とともに、嗜好性成分や機能性成分としての側面があることを指摘され、タマネギに含まれる機能性成分「ケルセチン」についてお話くださいました。

機能性成分とは体内に摂取され、ヒトの健康維持に重要な働きを果たしている成分のことで、ケルセチンには活性酸素の消去やLDL(悪玉コレステロール)の酸化抑制を通して動脈硬化を抑える効果があることを、様々な研究のデータを示しながら紹介いただきました。

また、講義の締めくくりでは、食品の機能性に注目した特定保健用食品(トクホ)や、生鮮食料品にも機能性を表示する動向などを話されました。

機能性成分を自然食品から摂取することの重要性や、食べ物を栄養や機能性の観点からのみ捉える「頭でっかち」な姿勢では、望ましい食品摂取は長続きしないことなども指摘されました。

さらに、食育に代表される「食べること」に対する興味・関心の喚起が重要であること、そのためには食を文化として捉える「文系」的な見方など、幅広い視点が必要となってくることにも言及されました。

今回のご講義は、食品という我々に身近なものをテーマにお話いただいたこともあり、生徒たちはいつもにまして、科学と自分たちの生活との結びつきを強く感じることができたことと思います。

第2回SS出前講義「走査型電子顕微鏡で見た生物の世界」を開催しました

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  • 第2回SS出前講義「走査型電子顕微鏡で見た生物の世界」を開催しました

 第2回「SS出前講義」は、大阪教育大学から出野卓也先生を講師にお招きして、「走査型電子顕微鏡(SEM)で見た生物の世界」をテーマに、ご講義をいただきました。

 今回は、生徒が自分自身で貴重なSEM=走査型電子顕微鏡=を操作し観察できるとあって参加希望者が多く、定員20名を大幅に超えたため抽選を行いました。

 はじめに、出野先生からSEMの仕組みについてのお話しを伺いました。SEMでは試料がどのように見えるのかをポイントに、光学顕微鏡と電子顕微鏡との違いについて、それぞれの特徴や性能、各顕微鏡の原理と像拡大法の比較など、分かりやすい内容でした。

 そして、SEMでは真空中の試料に電子ビームを当て、放出される二次電子を観察するため、試料の表面に金属コーティングが必要であることとその試料の作り方、また、SEMで得た情報への注意点なども教えていただきました。

 続いて、実際に観察を行いました。生徒たちは、チョウの鱗粉、花粉、鉛筆、消しゴム、髪の毛、爪、アリなど、様々な試料を金属コーティングしてSEMで観察しました。髪の毛の観察ではテレビのコマーシャルなどで見かけるのと同じキューティクルが見られ、花粉では球形からとげが無数に付き出している状態を、アリでは触角の先が毛で覆われている姿までを観察することができました。視覚では確認できない倍率で映し出された映像に、生徒たちは驚きの声を上げながら、興味深げに観察していました。

 爪を試料にして観察した生徒は「断面が層になっていて、驚きました。普段見ることができないものが見られ、いい経験をすることができました」と話していました。

本年度の第1回SS出前講義「太陽はなぜ光るか?」を開催しました

  • 本年度の第1回SS出前講義「太陽はなぜ光るか?」を開催しました
  • 本年度の第1回SS出前講義「太陽はなぜ光るか?」を開催しました

第1回「SS出前講義」は、大阪教育大学から定金晃三先生を講師にお招きして、「太陽はなぜ光るか?」をテーマにご講義をいただきました。聴講生は高2生と高1生の希望者で、約70名の生徒が熱心に受講しました。

今回の講義では、日々当たり前のように我々を照らす太陽についての様々な疑問―太陽はいつから輝き、なぜそれほどまでに明るいのか、そして、いつまで輝き続けるのか? など―を、それらの疑問が物理学者たちによって解明されてきた歴史を追って、わかりやすく解説していただきました。

また、太陽の謎をめぐるこの論争は決して古い話ではなく、産業革命以降、絶滅した動物の化石が古い地層から発見されたことによって始まったこと、当時の物理学の枠内で正しいとされた考え方に、その後の核エネルギーや核融合反応の発見によって、修正が加えられたことなども紹介されました。

さらには、2011年にノーベル物理学賞を受賞した「宇宙の加速膨張の発見」によって明らかになった、未知のエネルギー(ダークエネルギー)の存在にも触れられ、「宇宙を支配する物理学の基礎を人類は理解している」と考えるのは間違いかも知れないと話されました。

定金先生は、「物理学を研究するから日本史や世界史を知らなくていいということはない」と強調され、文系や理系にこだわらず広く知見を広める大切さを、太陽の謎を通して語られました。最後に生徒からの質問にも丁寧に答えていただき、第1回SS出前講義を終えました。

参加した高2の女子生徒は「宇宙について、学者がこれまでに解明したことや、現在もまだわからないことなどを詳しく教えていただき、勉強になりました。将来ダークーエネルギーについて研究ができればいいいなと思いました」と感想を述べていました。

第7回SS出前講義 「冬の星空で探る星の一生(大阪教育大学訪問)」を開催

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  • 第7回SS出前講義 「冬の星空で探る星の一生(大阪教育大学訪問)」を開催

 2月15日(土)に、高校1年生43名が大阪教育大学の柏原キャンパスにお伺いしました。SS出前講義は通常校内で開いていますが、今回は天体観測のために大学にお邪魔しての実施となりました。毎年天文学の講義と天体観測の実習を併せてお願いしていますが、残念ながら今年は悪天候のため観測実習は実施できませんでした。

 前半は、大阪教育大学の松本桂先生に「冬の星空で探る星の一生」というテーマで講義をいただきました。太陽をはじめとする恒星が核融合によって光と熱を発していることを、天文学研究の歴史を追いながらお話いただきました。さらに夕食をはさみ、「主系列星から赤色巨星、さらには白色矮星へ」という、恒星のたどる一生について講義をいただきました。星の寿命と光度・質量との相関関係や、様々な元素の恒星内での生成など、興味深い話をお聞かせいただきました。

 後半は、2つの班に分かれて、観測ドーム・51cm天体望遠鏡の見学と、大学院生の方々の研究テーマに関する講義の拝聴とを交互に行いました。

 生徒には、日常生活のスケールを超えた宇宙という大きな世界へ思いを馳せるよい機会になったことと思います。また、学校を離れて大学の施設で講義や見学を体験し、学生食堂での夕食まで経験できたことは、生徒が大学生活や学問への関心を抱き、自らの進路について考えることに役立ったのではないかと期待しています。

第6回SS出前講義「生物の進化と多様性を魚類から考える」を開催

  • 第6回SS出前講義「生物の進化と多様性を魚類から考える」を開催
  • 第6回SS出前講義「生物の進化と多様性を魚類から考える」を開催

高校1年生を対象に、第6回「SS出前講義」を大教室で開催しました。「生物の進化と多様性を魚類から考える」をテーマに、本校の卒業生であり、京都大学農学研究科助教の中山耕至先生に、講演していただきました。

講演では、ひとくくりにしがちな「魚類」について、定義や系統(進化の道筋)を分かりやすく解説しながら興味深い話を展開され、全てにおいて"見る目"を身に付けることの大切さを語ってくださいました。

魚類という分類群はなく、サイとタイとヒトでは、タイとヒトが同じ「硬骨魚」のグループに入り、サメを別にする方が良いと話され、常識とは違う話に驚きました。また、同じタイプ同士でしか交配しない点とDNA鑑定から、以前は1種と思われていたメバルが3種に分けられ、逆に、別種と思われていたハタタテダイとトリクチスが発育による形態変化で同一と見なされた例なども紹介されました。そして、生物を見る時は常に比較の視点が必要で、進化の本質は分岐による多様化であり、その道筋は一本道ではないと強調されました。

また、図鑑に載っている「魚類」の種の分類において、発行所により異なっている事例を挙げ、理由として「図鑑に書いてあることは、その時点で最新の研究成果、すなわち仮説であり、今後も変わる」と語られました。

最後に、中山先生ご自身の研究の話を交えながら、高校の勉強と大学の研究とで大きく違う点は、答えがなく、答え合わせをしてくれる人がいないことと話され、「(レポートや計算結果の提出時には)自分の出した結論が正しいと思えるまで自分自身で十分に確認する習慣をつけることが必要です。目的を持って大学に進学してください」とアドバイスしてくださいました。

第5回SS出前講義「時を刻む鉱物―放射線と考古学・文化財―」を開催

  • 第5回SS出前講義「時を刻む鉱物―放射線と考古学・文化財―」を開催
  • 第5回SS出前講義「時を刻む鉱物―放射線と考古学・文化財―」を開催
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  • 第5回SS出前講義「時を刻む鉱物―放射線と考古学・文化財―」を開催

高校生を対象に、第5回SS出前講義をNGプラザ大教室で開催しました。今回は、出土考古遺物(主に土器の焼き物)の年代測定など、文化財に関する自然科学研究に取り組む奈良教育大学の青木智史特定准教授(教育学部理科教育講座)を講師にお招きして、「時を刻む鉱物―放射線と考古学・文化財―」というテーマで講演していただきました。

前半は、自然放射線、「吸収した放射線を記憶する」などの鉱物の性質、文化財年代測定法の種類など、文化財科学に関する基礎知識を紹介いただき、続いて、ご自身の研究テーマである高い熱を受けた試料を対象とする「熱ルミネッセンス年代測定法」について、同大学の研究装置を紹介していただきました。

後半は、研究成果事例として、同測定法により火災があった時期を特定した『大安寺西塔の焼失年代検討』や、同測定法を応用した「陶磁器の真贋判定」によりねつ造を証明した『旧石器発掘ねつ造事件関連遺物の真贋検討』を当時のエピソードなどを交えながら紹介していただきました。

最後に質疑応答を行った後、青木准教授は「誰がおこなっても同じ結果が得られる、それが科学です。文化財科学は見えなかった遠い過去や人の動きを解明します。歴史的文化遺産の宝庫、考古学や歴史学のメッカである、この奈良での研究は毎日が楽しくてたまりません。共に研究に励む仲間ができることを楽しみにしています」と語られ、講義を終了しました。

また講義後、希望者に、昇温装置を使用して、蛍石の発光現象を見せていただきました。

受講した吉村栄人くん(高校1年生)は、「先生がこの研究の道に進むきっかけになった『旧石器発掘ねつ造事件』の話を聞いて、真実だと信じられてきたことが覆ることがあるんだと本当に驚きました。神秘的な蛍石の発光にも感動しました。文理のコース選択を控えてとても参考になりました。」と感想を話しました。

第3回SS公開講座「ヨット世界一周航海から見る世界の環境」を開催しました

  • 第3回SS公開講座「ヨット世界一周航海から見る世界の環境」を開催しました
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  • 第3回SS公開講座「ヨット世界一周航海から見る世界の環境」を開催しました

本校生徒および保護者を対象に、第3回SS公開講座をNGプラザ大教室で開催しました。今回は、株式会社シー・テクニコ(沖縄県八重山郡)代表取締役社長兼、NPO法人石西礁湖サンゴ礁基金(同県石垣市)副理事長の前田博氏を講師にお招きして、「ヨット世界一周航海から見る世界の環境」という演題で講演していただきました。

前田氏は、大学時代に全日本学生ヨット選手権大会優勝や世界選手権出場を果たした経験などをお持ちで、2009年から1年10か月かけて、海外27カ国62寄港地をめぐる世界一周夢航海を果たしたヨット『八重山(やいま)号』の船長をされています。

前半は、『八重山号』の乗組員や長期にわたる船内生活の様子などを紹介されながら、風上にも進むことができるヨットの仕組み(「セーリングヨットの力学」他)、また、他船との衝突を避けるための航海備品(GPSなどの航海計器、電子海図他)など、ヨットに関する基礎知識を解説されました。

その後、3次元(3D)地図ソフトウェア『Google Earth』を使用され、世界周航航跡をたどりながら、各寄港地で発見したこと、想定外の困難や想像を超えた感動、世界の自然環境、世界一周を終えて改めて見つめ直した日本の「今」などを伝えられました。

後半は、自身の「サンゴ礁保全活動」や「赤土流出に関する取り組み」などを紹介し、サンゴ礁の海と人間が末永く共存していけるアイデアを聞かせてほしいと問いかけられました。

講演の中で前田氏は、未来を担う学生へ届けたいと「今ある当たり前の幸せに感謝する気持ちを忘れないでほしい」「リスクを受け入れながら自分の楽しみを見つけてください。それが好奇心と行動力につながり、夢実現への力となります」など、冒険家らしいたくさんのメッセージを伝えられました。

今回は、今年7月に八重山諸島で前田先生のもと、SS国内研修を受けた高校2年生4人が、お礼を伝えて奈良のお土産をお渡ししました。その一人である向当遼太郎くんは、「行動力や発想力が自分と次元が違うと感じました。研修の時も、ニュースを聞いているだけではなく自分の目で確認することの大切さを学びました。先生から今もらった宿題の答えは、2番『夢を達成できるか不安で疑問だ』を選びます。達成できるかわからないからこそ夢で、だからこそ夢の実現に挑戦したいです」と話していました。

第2回SS公開講座(「南海トラフ地震」等)を開催

  • 第2回SS公開講座(「南海トラフ地震」等)を開催
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  • 第2回SS公開講座(「南海トラフ地震」等)を開催
  • 第2回SS公開講座(「南海トラフ地震」等)を開催

中・高校生および本校保護者を対象に、第2回SS公開講座をNGプラザ大教室で開催しました。

今回は、地震学教育研究に取り組む神戸大学の吉岡祥一教授(都市安全研究センター・同大学院理学研究科)を講師にお招きして、「東北地方太平洋沖地震の地震・津波と西南日本の今後の地震」という題目で講演していただきました。

前半は、地震発生の仕組み、地震観測、地震に伴う現象など、地震に関する基礎知識を紹介。その後、「2011年東北地方太平洋沖地震」(主に津波被害)と「1995年兵庫県南部地震」(主に震害)を比較しながら、特に重点的に『地震津波発生と伝播の仕組み』を解説されました。

後半は、西南日本を中心に、今後起こる可能性のある地震を地震のタイプ別に列挙。想定される規模、人的被害や建物被害など具体的な数値を示しながら、自身の研究テーマである『スーパーコンピュータを使った南海トラフ巨大地震の津波シミュレーション動画』などを紹介されました。

最後に質疑応答を行った後、吉岡教授は「地震発生後の野外観測データで得られた知見をフィードバックすることで、地震予知研究や防災につなげることができれば幸いです。メカニズムの解明が我々科学者の使命です」と語り、講座は終了しました。

受講した黒子茜さん(高校1年生)は、「長時間かけて到着する遠地津波のことを知らなかったので、岩手県宮古大津波が(海面からの高さ10メートルの)堤防を越える映像などを見て、改めて津波の恐ろしさを感じました。"仕組み"を知ることが好きなので、このSS公開講座に参加しました。『GPSを用いた海底地殻変動観測』の話など、もっと詳しく話を聞きたい、もっと学びたいと思いました」と感想を話しました。

第4回SS出前講義(「人口知能の現状と課題」)を開催

  • 第4回SS出前講義(「人口知能の現状と課題」)を開催
  • 第4回SS出前講義(「人口知能の現状と課題」)を開催

「第4回SS出前講義」を本校サイエンス館で行い、大阪教育大学の藤田修教授を講師にお招きして、「人工知能の現状と課題」をテーマに講演していただきました。

はじめに、藤田教授は人工知能で話題になった例として、チェス世界チャンピョンに勝利した「DeepBlue」、クイズ番組で優勝した「Watson」、プロ棋士に勝利した「将棋ソフト」、さらに、軍事用ロボットや掃除ロボット"ルンバ"、及び、Car Navigationや自動運転などのITS(高度交通システム)が開発されたことなどを紹介されました。

続いて、これらの開発の成功には電子計算機の歴史が関わっており、半導体製造技術の発展による計算能力の急激な向上があるとし、中でも、東大チームが開発した対局型ゲームの「GPS将棋」には、iMac800台で1秒間に3億手を計算させていることを話されました。ところが、大半の人が人工知能ロボットと思っていた二足歩行型ロボットのASIMOについて、藤田教授が「歩くだけのロボットで高級なからくり人形のようなもの。ASIMOの小さな頭にiMac800台は入れられない」と話されると、生徒たちは驚いていました。

次に、人工知能の数理モデルを考えれば、形式的には電子計算機と同じ情報処理機械だとして、知能部分に当たる判断行動の内容を実行させる数式はなく、原理は未解明と話されました。そして、現在の人工知能は、想定された状況に対処するように調整されているが想定外の変化を無視するので、汎化能力を機械学習の課題としているとし、「データに合わせ過ぎると新しいことに対応できなくなる。大ざっぱな目標を導いた方がよい」と語られました。

最後に、藤田教授には生徒からの質問に丁寧に答えていただき、「自然界を数式化するためにも、数学を勉強してください」とエールを送ってくださいました。

第3回SS出前講義(大阪教育大学)を受けました

  • 第3回SS出前講義(大阪教育大学)を受けました
  • 第3回SS出前講義(大阪教育大学)を受けました

本校サイエンス館視聴覚教室で「第3回SS出前講義」を行いました。相対論的宇宙流体力学を専門とされておられる大阪教育大学の福江純教授を講師にお迎えし、「ブラックホール活動天体入門」をテーマに講演していただきました。

福江教授はまず、ブラックホールと聞いて何をイメージするか生徒に質問。「真っ暗で何も見えない」「何でも吸い込んでしまう」と思われがちのブラックホールが、実は光り輝き、吸い込むだけでなく吹き出す活動も行っていると紹介しました。具体的にブラックホールがどんな風に見えるのか、数値シミュレーションや活動銀河の描像などを用いながら、ブラックホール活動天体と亜光速ジェット現象について分かりやすく説明されました。

続いて、ブラックホールの仕組みについて言及。実はブラックホールだけでは何の現象も起こらず、落ちてくるガスの作用でエネルギーが発生していることを明らかにされました。そして、今年の夏から銀河系中心でガスがブラックホールに落ちつつあるという、今まさに宇宙で起きている現象をシミュレーション動画で紹介。生徒は、宇宙空間を漂うガスが白い光へと吸い込まれる神秘的な情景に釘付けの様子で、天体への知的好奇心をさらに刺激されたようでした。

最後に福江教授は「ブラックホールの研究は日常生活でどのように役立っているのか」「ブラックホールの表面は本当に時間が止まるのか」といった生徒の質問にも丁寧にお答えし、今回のSS出前講義を終えました。受講した生徒からは「1万倍、1億倍などの大きな単位が想像できず大変だった。それだけ宇宙空間に可能性があると感じ、興味がわいた」「天文学と言っても物理や化学などいろんな要素が合わさっていると知り、理系分野への視野が広がった」といった感想が聞かれました。

第1回SS公開講座(東京大学)を開催しました

  • 第1回SS公開講座(東京大学)を開催しました
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第1回SS公開講座は、東京大学大学院理学研究科の早野龍五教授を講師にお招きして、「震災ビッグデータの可視化と福島における内部被曝」をテーマに講演していただきました。早野教授は様々なメディアを通して、東日本大震災発生後に大問題視されている放射能に関し、収集したデータや見解を発信し続けてこられた方として知られています。

はじめに、早野教授は自身の研究テーマ「エキゾチック元素」について話された後、人間の体内水素は137億年という年齢でビッグバンの時に作られたこと、人間は日常生活の中で年間約6ミリシーベルトの、医療被曝を含む放射線を浴びていること、そして、元素記号などを用いて、放射性同位体のことも簡単に紹介されました。

続いて、心配されている内部被曝について実際はどうなのかということを示すためにも、生活しながらどれだけのリスクがあるのかを調べる重要性を話されました。事故後から検査を継続する大切さを提案され、体内のセシウム量を測る検査を、文部科学省を通して定常的に実施されるまでに整備され、様々な情報を公開してこられるなど、2年間の経緯や取り組み内容とその理由、及び結果などを教えてくださいました。

そして、福島県の給食を検査した結果から問題がなかったこと、流通している食材や福島で収穫された米も問題がないと判明したことなども話されました。ただ、日々の生活行動(訪れる場所や流通以外の食材など)によって個々の体内のセシウム量が違うため、地域一括で考えるのではなく、一人ひとりの状況を確認して対応することが大切だと強調されました。

最後に、生徒や保護者からの質問に丁寧に答えていただき、早野教授は「データを見続ける限り心配する必要はない。世界に対して、世界的な常識の値から考えても恐ろしく低いということを伝えなければならない」と締めくくり、講演を終えられました。

第2回SS出前講義(奈良女子大学)を受けました

  • 第2回SS出前講義(奈良女子大学)を受けました
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高校1・2年生を対象に、国立大学法人 奈良女子大学の石井邦和助教授(理学部物理科学科)による出前講義を受けました。今回は、研究設備の見学をするために、奈良市にある同大学を訪問し、「放射線とイオンビーム(Radiation physics and ion beam analysis)」というテーマのもと、大学の授業を体験しました。

石井助教授は、放射線発見の歴史から最近の利用の最前線まで、その歴史を築いたノーベル物理学賞受賞者にスポットを当てながらわかりやすく解説。特に重点的に量子ビームを効果的に活用している応用分野を医学応用(CT検査、重粒子線治療/他)、農業的応用、歴史的事物の年代測定など具体的な事例を挙げながら紹介されました。

講義後は、いよいよ普段入ることのできない研究室へ。加速器、PIXI放射線実験装置(多元素同時・非破壊分析法)、制御室などをその仕組みの説明を受けながら見学しました。

終了後、石井助教授と研究室に所属する4回生から「物事の原理を知ることは楽しい! 将来ぜひ一緒に研究しましょう」と生徒への応援メッセージをいただきました。

受講した高校1年生は「加速器を自分の目で見てみたかったのでとてもうれしい」「自分も飲んでいるミネラルウォーターと淀川の水の濃度比較測定の話など、日常生活の中でもためになる話を聞くことができた」「研究者たちの紆余曲折にも感動した」と感想を話しました。

第1回SS出前講義(京都大学)を受けました

  • 第1回SS出前講義(京都大学)を受けました
  • 第1回SS出前講義(京都大学)を受けました

今年度の第1回目となる「SS出前講義」を、本校サイエンス館視聴覚教室で行いました。今回は、大和郡山市出身、在住でもある京都大学の八尾誠教授(大学院理学研究科 物理学第一教室)をお迎えし、「X線自由電子レーザー:生命科学を支える物理学」をテーマに講演していただきました。

八尾教授は、物理学の基礎理論が最先端の医療現場で活躍していることを、CT、MRI、PETなどの検査方法を例にわかりやすく説明。中でもCTで使われる電磁波・X線に着目して、その最先端の研究内容を紹介されました。

超強力なX線発生装置「X線自由電子レーザー」は世界に2機しかなく、そのうちの1機、日本の『SACLA』について、位相の揃った強いX線が放出されるまでの流れを施設内部の加速器トンネルやアンジュレータホールのイメージ映像を見せながら示されました。そして、この装置によって非周期系の3D立体構造解析が可能になり、液体論が一新されるであろうと近未来の物理学の展望を語られました。

さらに、日本が最先端を行く「人工光合成」の研究でも可視光やX線を使った実験が行われていると話され、「現代科学において物理・化学・生物・地学はボーダーレス。貪欲に勉強し、若い皆さんが科学の未来を実現させていってください」と締めくくられました。

最後に、生徒からの質問にも丁寧に答えていただき、今回のSS出前講義を終えました。

第3回SS公開講座で中貝豊岡市長に講演していただきました

  • 第3回SS公開講座で中貝豊岡市長に講演していただきました
  • 第3回SS公開講座で中貝豊岡市長に講演していただきました
  • 第3回SS公開講座で中貝豊岡市長に講演していただきました
  • 第3回SS公開講座で中貝豊岡市長に講演していただきました

第3回「SS公開講座」を本校大教室で行い、講師に兵庫県豊岡市長の中貝宗治氏をお迎えし、「コウノトリと共に生きる―豊岡の挑戦―」をテーマに講演していただきました。

中貝市長は、豊岡市の自然環境と歴史に触れ、北但地震災害から復興を遂げたことなどを例に挙げ、姿を消したコウノトリの野生放鳥に成功した町として、野生放鳥に取り組んだ思いや成功までの道のりを話されました。

「豊かさって何でしょうか?」。この言葉を投げかけ、「コウノトリもくらせる町」を掲げ、単なるコウノトリオタクにならず、環境にいいことをしながら経済活動をする環境経済戦略を推進させてきたことなどを話されました。

そして、「不可能」の多くは人々の意識だとして、意見が違う人にも情熱の伝播・共感の連鎖により「意識が変わり、そのことにより仲間が増え、世の中が変わる」と続けられました。そのためにも、机上の考えだけではなく現地を見ることが大切で、何よりも誠実であることが重要だと強調し、小さな世界都市を目指す豊岡市の取り組みを紹介してくださいました。

最後に、生徒や卒業生からの質問にも丁寧に答えていただき、今回のSS公開講座を終えました。

貴重なお話をしてくださいました中貝豊岡市長様に、感謝申し上げます。

第5回SS出前講義(京都大学)を受けました

  • 第5回SS出前講義(京都大学)を受けました
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高校1年生を対象に、NGプラザ大教室で「第5回SS出前講義」を行いました。本校の卒業生でもある、京都大学工学部地球工学科准教授の後藤忠徳先生をお招きし、「いま地下で何が起きているか?」をテーマに、防災・環境保全のための探査技術について講演していただきました。

講演で後藤先生は、地下を掘らずに地中を見る技術として、自然及び人工的に発生した物理現象の反応を測定・解析する「物理探査」を挙げ、地下水調査や地盤調査など身近な防災・環境保全の場で活躍していることを話されました。その中から、電気と電磁の原理を用いた探査方法について動画や概念図でわかりやすく解説し、この技術の基礎こそが中学・高校で習う理科と数学の知識だと強調されました。

最後に、「コンピュータやエレクトロニクスが発達してきた昨今、より地下が見えるようになるでしょう。天気予報のようにどこの活断層が割れやすいかを予知できる未来が訪れるかもしれません」と技術発展の更なる展望を語り、出前講義を終了しました。

第4回SS出前講義を行いました

  • 第4回SS出前講義を行いました
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  • 第4回SS出前講義を行いました
  • 第4回SS出前講義を行いました

本校サイエンス館地学教室で、「第4回SS出前講義」を行いました。講師に大阪教育大学の広谷博史先生をお招きして、「水と環境」をテーマに講演していただきました。

講演で広谷先生は、資料を例に挙げながら、生徒たちに身近な"水"に意識を持ち"水"を取り巻く課題について、何が問題でどのような対応が可能なのかなど、自分自身で考える癖を身に付けることが大切であるとの話を展開されました。

水環境の問題として、日本の国土は地形により雨量の多い地域と少ない地域があり水問題は深刻であること、海水を飲料水に変える技術は確立されているものの設備費用も含め導入には厳しい面があること、ダムの重要性を考え、河川のどの位置に優先的に造ればきれいな水質を保てるのか、そのため水質悪化の原因について考えることなど、様々な例を挙げて考えるポイントを提示されました。そして、「水を出す蛇口があれば、必ず排水口がある。最後まで考えなければならない」と強調されました。

また、統計資料から、1人が使用する1日当たり水の使用量は約300リットルで、そのうち飲料水は1割にも満たず、9割強を洗濯、洗浄、トイレ、風呂などに使用していると話されました。そして、洗うための水は再利用でもよいはずで、現在は上水道と下水道の間の中水道が、トイレの洗浄水や散水などに使用され始めていると続けられました。

最後に、スーパーなどで販売されているフランスや日本の水の"きき水"をしました。生徒たちは硬水や軟水を口に含みながら、水の味の違いを確かめていました。

生徒たちは、"おいしい水・体によい水"を飲み続けるために、どのような視点を大切にしていかなければならないのかを、講義を通して考えさせられました。

第2回SS出前講義を行いました

  • 第2回SS出前講義を行いました
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  • 第2回SS出前講義を行いました
  • 第2回SS出前講義を行いました

第2回SS出前講義を、本校サイエンス館地学教室で行いました。
今回は、大阪教育大学の鈴木剛准教授(教養学科・植物分子遺伝学研究室)を講師に迎え、『菜の花の花粉と雌しべが出会うとき―細胞レベルの自己・非自己認識反応―』をテーマに講演していただきました。

鈴木准教授は、菜の花(アブラナ科)が両性花であることから「自己受粉」しやすい仕組みを持っているが、自分と他人の花粉を見分けて、他人の花粉のみと受精する「自家付和合性」というシステムで「多様性」を維持していると説明されました。

そして、食卓に並ぶ野菜にはアブラナ科のものも多く、農家は種苗会社から「均一な品質」「大きくて病気に強い」「農家が独自に種子を採れない」と言った性質をもった「F1hybrid」と呼ばれる一代雑種のタネを購入しており、「自家付和合性」を持った親品種をハチに相互交配させると一代雑種種子ができると紹介しました。

続いて、それらアブラナ科植物の自家付合和性を制御しているS遺伝子座をDNA(二重らせん)レベルで解析し、その構造について説明したうえで、自己付和合性は植物の「近親交配」を回避する機構であると位置づけました。

最後に鈴木准教授は、大学における研究活動について、「日々努力して研究を重ねるには費用もかかるもの」と語り、「結果を残して名のある学術誌に論文を掲載することはとても意義があり、報われる瞬間。ぜひ科学の世界へ進んでほしい」と締めくくられ、出前講義を終了しました。

第1回SS公開講座を開催しました

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7月21日、第1回SS公開講座「The Science of Music ~人はなぜ音楽に感動するのか~」を開催しました。講師は、作編曲家でありピアニスト、口笛奏者と、NHKの音楽番組でおなじみの上柴はじめさんと、『ドラエもんのうた』を始めとするアニメの主題歌・童謡・手遊びうたの歌手・監修として活躍し、講師としても活動している山野さと子さんです。

今回は音楽が人間の気持ちに対して、どのように影響を与えるかを、実演奏を交えながら科学していただきました。本校の校歌を合唱した後、音楽実験。校歌や時報、救急車のサイレンなど身近な音楽をアレンジしたり、『赤い鳥小鳥』(北原白秋)を関東弁や関西弁のイントネーションで歌ってみたり、全く違う曲を同時に歌ってみたりと、音楽の文法の不思議や、編曲での感じ方の違いを体験しました。

その後、幼児や高齢者の脳を急激に活性化させると科学的に実証されている手あそび歌も、体験しました。「音楽」に「手あそび」という体の動きがつながるとどのような効果がでるのか生徒たちは体で感じたようでした。

最後に、みんなで超ミニミニ・ミュージカル『おべんきょうのうた』に挑戦しました。女子合唱は「ABC」と流れるように歌い、男子合唱は「九九」を暗記勉強をするように歌い、山野さんがやさしい女先生、特別参加の前田先生が命令口調の男先生と、4つの違う歌を重ね即席ミュージカルを楽しみました。

「動きたくなる、はもりたくなる、うたいたくなる。音楽はエネルギーです。これからも音楽で感動して思いっきり楽しんで下さい」と上柴さん。生徒からは「一緒に歌ったり体を動かしたり、ほんとに楽しかった」や、「もともと好きですが、心で感じる音楽がもっと好きになりました」といった声が聞かれました。

第1回SS出前講義を開きました

  • 第1回SS出前講義を開きました
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6月21日、第1回SS出前講義を、本校サイエンス館視聴覚教室で行いました。この講義は本校がスーパーサイエンスハイスクール(SSH)として文部科学省より今年度から5年間にわたり指定を受けたことをきっかけに、これまでの大学サイエンス出前講義から名称を変更して実施しました。

今回、大阪教育大学の堀一繁准教授(教養学科・自然研究専攻有機物質科学研究室)を講師に迎え、『香料から液晶テレビまで~鏡像異性体と旋光そして未来のテレビ~』をテーマに講演していただきました。

内容は身近な家電製品のテレビの映像技術や、コマーシャルでよく耳にする薬品の成分について、高校で勉強する化学の内容がどのように生(い)かされているのかを分かりやすく説明してくださいました。そして、未来のテレビなどの映像技術がどのように進化するのか、すでに開発されている有機ELテレビを例に挙げ、さらに、ある映画に登場した新聞の写真が動画になる場面も、現在の技術ではカラーで表現が可能になっていることなどを紹介されました。

これらの技術を理解しやすいように、分子式や構造式といった元素の組み合わせや特徴の説明から、身の回りの光学活性化合物へと話が展開。生徒たちは興味津々な様子で聞き入っていました。堀准教授は「素晴らしい技術を開発することができても、その技術を生かすためには経済状況や外交面が重要です。皆さんの中には化学方面に進まない人がいても、これらの知識を自分の向いているところで生かしてもらいたいです。高校の勉強が実社会でどうリンクしているのか分かってもらえると幸いです」と締めくくられ、出前講義を終了しました。