高校人権講演会を開催しました
6月17日(火)、第1体育館にて、高校生全学年を対象とした人権講演会が開催されました。
講師としてお迎えしたのは、ロックバンドFUNKISTのボーカル・染谷西郷さんです。
染谷さんの講演は、語りと歌を巧みに組み合わせた魅力的な内容で、生徒たちも熱心に耳を傾けていました。
講演の冒頭で、染谷さんはご自身のルーツについて語られました。
フラメンコギタリストである日本人の父と、バレエダンサーで南アフリカ出身の母の間に生まれたこと、そしてそのバックグラウンドが自身の価値観や人生観に大きく影響しているそうです。
幼少期から現在に至るまでの経験をふまえながら、当時の心情や気づきを丁寧に伝えてくださいました。
「南アフリカと言えば何を思い浮かべますか?」という問いかけに対して、生徒たちからは「喜望峰」「ケープタウン」「首都が3つある」「2010年のFIFAワールドカップ」といった答えが挙がりました。
さらに、「アパルトヘイト」という言葉も飛び出しました。
染谷さんは、アパルトヘイト政策が日常として存在していた南アフリカで過ごした幼少期の記憶について語られました。
アパルトヘイトとは「人種隔離政策」のことで、本来は文化的背景の異なる人々が別々に暮らすべきという建前でしたが、実際は白人による支配体制を維持するための差別的な制度でした。
有色人種と一緒にいるだけで非難されるような社会で生まれ育ったこと、そして父が日本人だったことから、やがて家族で日本に移住した経緯も語られました。
しかし、日本に来てからも苦労は続きました。
幼稚園や小学校では、同級生から「外人」として見られ、長くいじめを受け、自分の居場所を失った感覚を抱えていたといいます。
そんな中でも、偏見を持たず、いつも興味を持って接してくれた友人が一人おり、その存在が心の支えとなっていました。
中学・高校を経て再会し、今ではその友人とともにバンド活動をしているとのことです。
また、心を動かされた歌として、ブルーハーツの「青空」を挙げ、「生まれた所や皮膚や目の色で、一体この僕の何がわかるというのだろう」という歌詞に深く共感したことも印象的に語られました。
さらに、ワールドカップのステージで歌うという経験を通して、「自分の居場所を探すのではなく、多くの人にとっての居場所を自分たちがつくることの大切さ」に気づいたことなど、多くのメッセージが込められていました。