令和7年度 第1回SS公開講座「船の世界へようこそ!海運の役割とこれから」が開催されました
本校ではスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の一環として、おもに卒業生や本校にゆかりのある科学者を講師にお招きし、生徒の科学的探求心を育むことを目的とした「SS公開講座」を実施しています。
6月21日(土)、本年度 第1回SS公開講座は、「船の世界へようこそ!海運の役割とこれから」と題して開催されました。講師は本校卒業生の上田和季先生です。上田先生は、大学院時代から研究のかたわら、科学の裾野を広げるサイエンスコミュニケーターとして活動し、京都鉄道博物館での勤務を経て、今年7月に大阪南港にオープンする商船三井ミュージアム「ふねしる」初代館長への就任が予定されています。
前半は、奈良学園の生徒時代に行った化学研究発表や、大学・大学院時代の研究成果とサイエンスコミュニケーターとして活動するなか、自分で研究するより子供達や他の人々に科学の面白さを伝えたいと思うようになったこと。そして、京都鉄道博物館に勤務に至る経緯についてお話していただきました。その後、海運の世界に転進され、もっと海運の素晴らしさを伝えたいという気持ちから、今までに無かった体験型の船の博物館を作りたいという意欲が高まっていかれたそうです。そこから、どのように商船三井の社内で、博物館実現に向けて動いたかを、具体的に説明していただきました。
後半は海運とは何かについてお話していただきました。海に囲まれた日本では、衣食住に関わる物、エネルギーの元となる石油や石炭、天然ガスなど、輸出入の99%が船で運ばれているそうです。また、船が大量輸送に適している理由、世界ではどのような船が活躍しているのかについてもパワーポイントを使ってわかりやすく説明していただきました。さらに、関西万博でも展示されている商船三井グループの取り組む温室効果ガスを削減し、究極のゼロエミッションが実現する「Wind Hunter」プロジェクトが動画で紹介されました。この展示は万博終了後、商船三井ミュージアム「ふねしる」で引き続き展示されるとのことです。その他、上田先生からは、「ふねしる」で体験できることや、予定されている展示内容が紹介されました。
質疑応答では、実際に万博で「Wind Hunter」プロジェクトを見た生徒からのさらにつっこんだ質問や、研究分野の選定の仕方、アイデアやプレゼン力はどう鍛えたらよいかなどが質問されました。上田先生は、奈良学園時代の科学部の発表が役立ったことや、社内でもプレゼンテーション能力研修があることも教えていただきました。また、保護者のかたからは、プロジェクト実現に向けての仲間づくりをどのように進めていったかなど、同じビジネスパーソンとしての視点の質問もありました。
上田先生からは、「興味は変わってあたりまえ。幅広く興味を持ってチャレンジしてほしい。とにかく熱意!言えば伝わる!言わないと絶対に伝わらない!」とのメッセージが生徒達に伝えられました。生徒達にとっては、将来に向けて、さまざまな指針を得ることができた講座となりました。