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ブナとヒトの共生研修

 令和5年8月23日(水)~8月26日(土)の4日間の日程で、青森県西津軽郡深浦町十二湖・秋田県立博物館などにおいて板谷正勝先生、柳町明男先生のご指導の下、以下の内容で研修を行い、高校2年生7名が参加しました。

 1日目は秋田県立博物館で、白神山地周辺の自然について主に生物と地質の点から学習しました。フキやクロモジなどの植物では南から北へ、また雪の少ない太平洋側から豪雪地帯の日本海側へいくほど葉が大きく丸くなる傾向があるなど厳しい環境でも生き延びる生存戦略などを知ることができました。また、夜間実習として海岸周辺でウミホタルの発光および天体観測を行いました。

 2日目は板谷先生の案内で、白神山地の動植物についての実地研修を行いました。動物の通り道をみつけたり、イラクサやオヒョウなど生活に利用されていた植物の特徴を知ることでこの地で暮らしていた人々に思いを馳せることができました。また、夜の講話ではマタギの厳しい掟などをお話しいただいた。装備品や毛皮を手に取らせてもらい、またロープワークなども教えていただくことで自然と共生するということを多方面から考えることができました。

 3日目は柳町先生の案内で、白神山地の生物と地質学を中心とした実施研修を行いました。直前の豪雨の影響もありハッチョウトンボの観察はできませんでしたが、このような異常気象が及ぼす生物への影響、イタチハギなどの外来種の移入、ナラ枯れの現状などを目の当たりにし環境破壊がすぐそこでおこっている現実を痛感しました。浸食崩壊によってできた日本キャニオンやなぜその色になるのかがよくわかっていない青池や赤石など地質学的にも興味のつきない内容でした。

 4日目は十二湖エコミュージアムで研修した。動物のふんなどの体験型展示やジオラマ、数多くの白神山地に関する本を閲覧するなどを通して2日間のフィールドワークで学んだことをさらに深めることができました。

 本研修を通して、参加生徒たちは、同じように世界自然遺産として登録されている「知床」や「屋久島」が非日常的な場として守ろうとされているのに対し「白神山地」は大きなスケールでありながら日常的な場として自然との共生を未来につなげていこうとしていることを知りました。山の恵みを取りすぎず、必要な分だけいただくというマタギのルール。このことでブナの原生林が守られてきたこと。一方、国のルールで開発や乱獲から世界遺産地域を守るため、核心地域の立ち入りを制限されることでマタギも猟が困難になっていること。これらのことを知り、世界自然遺産に登録されたことで自然と深く関わってきたヒトの知恵や技が失われないようにするためにはどうするべきかを真剣に考え始めるよい機会となりました。