第1回 SS出前講義
令和6年9月10日(火)の放課後、和歌山大学の富田晃彦先生をお招きして、「天文教育の国際連携」をテーマにご講義をいただき、計21名の中高生が聴講しました。
講義ではまず、国際天文学連合 IAU について学びました。IAU が天文教育の研究と実践を重視しており、富田先生はその中でも天文学における平等・共生・多様性に重点を置いていらっしゃることをお話いただきました。望遠鏡で星を観測したことのないアフリカの子どもたちに天文学推進教室を開いていることや、富田先生が実際にインドネシアで行った中等学校の先生方への研修のこともお話いただきました。夜、星を見ることはなぜ楽しいのか。人類が性別や言語、宗教、さまざまな文化的背景の壁を越えて共有しているものはいかなる学問・芸術・実践でも同じものである、というお話もしていただきました。
続いて、視覚障がい等を乗り越える教材開発についてお話しいただきました。視覚障がい者にもわかりやすい「触れる天文教材」の開発や、重度の病気で自宅を離れて治療を受けている子どもたちへの天文観察会の開催など、平等な天文教育の取組についてお話をいただきました。
最後に、無人惑星探査機ボイジャーに搭載されたゴールデンレコードのお話や、カール・セーガン「Pale Dot Blue」のお話で締めくくられました。高校で地学が開講されていないこともあり、天文学に興味を持つ生徒の知的欲求は満たすことに役立つとともに、天文教育に関する内容から発展して、カール・セーガンの言葉に不平等の解決に思いを馳せることのできる有意義な講義でした。